魚の旨味がぎゅっと!鯵(アジ)の魚醤の作り方/自家製発酵調味料レシピ

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鯵の魚醤 魚醤
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1.はじめに

わが家が大好きな場所、お馴染みスーパーの鮮魚コーナー。

3月下旬、小ぶりの鯵(アジ)が山積みになっていました。

1パック5匹入りで200円を切る破格のお値段。

目は澄んでいて、体もピカピカ。

この鮮度でこの安さ?と思わず二度見してしまいました。

わが家がよく買う関東のアジの旬は初夏、脂がのって美味しいとされる時期にはまだちょっと早い。

春先のアジは、刺身やたたきの主役としてはちょっと物足りない、

比較的淡泊な味わいです。

でも魚醤を作るなら、これほどいい素材はありません。

春の仕込みにはいいことがたくさんあるんです。

まず、この時期のアジは脂が控えめなので、「発酵中の脂の管理が楽」という点で、初めての方にこそおすすめな素材です。

 

そして何より大きいのが気温です。

この時期はまだ気温が高くないので、仕込み直後の一番デリケートな時期に雑菌が繁殖しにくく、

塩がじっくり魚全体になじんでいきます。

塩が十分に行き渡った状態で夏を迎えられるので、腐敗リスクの高い「夏越し」を、万全の態勢で乗り切れるというわけです。

 

アジは「味(=アジ)がいい」と言われるほど、旨味の強い魚です。

タンパク質が豊富で、発酵が進むとグルタミン酸をはじめとするアミノ酸がしっかり出てきます。

白身魚の魚醤が「出汁のようなやさしい旨味」だとすれば、

アジの魚醤はパンチのある力強い旨味が持ち味です。

 

スーパーで一年中手に入る、もっとも身近な青魚。

わが家では7年以上、いろんな魚で魚醤を作ってきましたが、

アジは「手に入りやすくて、旨味が濃い」という点で、もっとも作りやすい魚のひとつです。

 

この記事でわかること

✔ 春のアジが魚醤の初仕込みにおすすめな理由
✔ 丸ごと仕込むための下処理と手順
✔ 失敗しないための注意点と対策

 

2.アジの魚醤ってどんなもの?

無添加で作る、安心の発酵調味料

魚醤は醤油のように使うこともできますが、旨味成分が多く含まれているため、

どちらかというとめんつゆ白だしのような万能調味料に近い存在です。

スーパーに並んでいるめんつゆって、裏のラベルを読むと添加物が色々入っていますよね。

その点アジ魚醤の材料は、魚と塩だけと安心です。

それなのに、少し加えるだけで料理の味がグッとひきしまります。

わが家では「ちょっと味が決まらないな」というときの、最後の切り札にもなっています。

アジの魚醤は、白身魚の魚醤とはまた違った力強い旨味とコクが特徴です。

パスタや中華炒め、ラーメンのタレなど、こってりとした味が求められる料理との相性が抜群です。

ナンプラーが好きな方には特におすすめです。

 

それに小麦も大豆も使っていないので、アレルギーのあるお子さんがいるご家庭にも安心してすすめられる調味料なんです。

わが家もアレルギー持ち(乳製品)の子がいるのですが、みんなが同じものを食べられるのって嬉しいですよね。

 

発酵の仕組みを論理的に理解したい方へ

魚醤の旨味は、魚自身が持つ分解酵素(プロテアーゼ)がタンパク質をアミノ酸(グルタミン酸など)に変えることで生まれます。

アジはタンパク質含有量が高く、酵素も豊富に含まれているため、

他の魚と比べて旨味の出方が力強いのが特徴です。

 

一方で気をつけたいのが脂質の酸化です。

青身魚は白身魚に比べて脂が多く、長期発酵中に脂が酸化すると「脂やけ」と呼ばれる現象が起きる可能性があります。

脂やけによって、味も風味も損なわれてしまいます。

脂の多い時期のアジでも、こまめに浮いた脂をすくい取れば問題なく作れますが、

春のアジは脂が控えめなぶん、この管理がぐっと楽になります。

初めてアジの魚醤に挑戦するなら、手間の少ない春の個体から始めるのがおすすめです。

 

春仕込みにはもうひとつ、「気温」という大きなメリットがあります。

魚醤づくりで最も怖いのは、仕込み初期に塩が全体に行き渡る前に雑菌が繁殖してしまうこと。

春はまだ気温が20℃前後と穏やかなので、仕込み直後のデリケートな時期を比較的低温で過ごすことができます。

2〜3週間かけてじっくり塩がなじみ、塩分濃度が安定した状態で梅雨~夏を迎えられる。

つまり、いちばんリスクの高い「夏越し」を万全の態勢で乗り切れるということです。

 

脂の管理が楽で、気温も味方してくれる、春のアジはいろんな意味で失敗の要素が少ない素材です。

 

3.材料と道具

材料(仕込み量:1㎏)

材料 分量 メモ
アジ 丸ごと5〜8匹(合計500g〜1kg) 鮮度の良いものを選ぶ
塩(天然海塩) 魚の重量の30〜35% 魚:塩 = 3:1が基本

 

※塩分濃度30%以上を保つことで腐敗菌の増殖を抑えます。

減塩は絶対にしないでください。

 

アジについて

真鯵(マアジ)は鮮魚コーナーで一年を通じて見かける、もっとも身近な青魚のひとつです。

体長15〜25cm程度のものが多く出回り、地域によっても違いますが、関東より北のアジの旬は夏(6〜8月)とされています。

旬の時期は刺身やなめろうで食べるのが最高ですが、

逆に旬前の春先は脂が控えめなぶん値段が安く、管理の手間も少ないので、

魚醤の初仕込みにぴったりです。

購入するときは、体にしっかり光沢があり、目が澄んでいるものを選んでください。

ドリップ(赤い汁)が多く出ているものは避けましょう。

 

塩について

精製塩でも作れますが、未精製の塩の方がミネラル分が多く含まれていて、

発酵の助けになるとされています。

わが家では海の素材を使う時は、岩塩ではなく海塩を使うようにしています。

特に魚醤作りには欠かせません。

魚醤におすすめの海塩

→わが家おすすめの未精製の海塩

 

道具

道具 用途
甕(かめ)またはガラス瓶 仕込み容器
重石・押し蓋 素材を液中に沈める
計量スケール 塩の量を正確に量る
出刃包丁 頭の処理・ぶつ切り用
料理ばさみ エラ・内臓の除去用
ボウルとザル 下処理用

 

一番重要なのは保存容器です。

発酵の環境を整えるのが何より大切です。

最初はガラス瓶で作っていましたが、夏場の気温が上昇するタイミングで発酵が過剰に進み過ぎて、

思うような仕上がりにならないことがありました。

試行錯誤の末に辿り着いたのが、昔ながらの甕(かめ)です。

厚みのある陶器は外気温の変化を受けにくく、発酵が安定するため、

長期熟成する場合にも向いています。

「いい発酵はいい道具から」

自家製魚醤に本気で取り組むなら、まずは陶器の甕を一つ買ってみてください。

安くはない買い物ですが、失敗すると材料だけではなく、

掛かった時間も無駄になってしまいます。

高級魚や珍しい未利用魚、魚のアラだけを少量漬ける場合も、重石の分を考慮して小さすぎないサイズにするのがいいでしょう。

→おすすめの陶器製の甕(~2kgくらい)

初めてなので中の様子がみえるようにガラス瓶で漬けたいという場合でも、2~3か月して大まかな発酵の様子がわかったら甕に移すといいでしょう。

 

もうひとつ、本気でおすすめしたいのが、料理ばさみです。

アジの下処理では、エラを取り除いて、腹を開いて、内臓を出して…と、

1匹ごとに細かい作業が繰り返されます。

5匹、8匹と数が増えてくると、包丁だけではかなり時間がかかります。

料理ばさみがあると、この作業がまるで変わります。

エラは付け根をチョキチョキ切るだけで、手を汚さずにきれいに外せますし、

腹を開くのも、肛門からハサミを入れてスーッと切り上げるだけで簡単です。

内臓を引き出すのも、ハサミの先でつまんで引っ張ればスルッと取れます。

包丁だと1匹あたり3、4分かかっていた下処理が、ハサミならその半分の1、2分

5匹仕込むなら、それだけで10分以上の時短になります。

青魚は鮮度の低下が早いので、下処理のスピードが味に直結します。

「時間を買う道具」という意味で、料理ばさみは魚醤作りの必須アイテムといってもいいでしょう。

正直、最初は「ハサミに数千円?」と躊躇しました。

でも甕と同じで、一度買えばずっと使えます。

切れ味のいい料理ばさみは、キッチンで一番働いてくれる道具です。

→わが家の相棒、切れ味抜群のハサミ

 

4.仕込み手順

STEP1|アジの鮮度を確認する

仕込む前に、まず個体の状態をチェックします。

最低限確認して欲しいポイントは以下の4つです。

✔ 目が透明で澄んでいる
✔ 体全体に光沢があり、青緑色が鮮やかである
✔ エラが鮮やかな赤色をしている
✔ お腹がしっかりしていて、ブヨブヨしていない

 

特にお腹が柔らかくなっている個体は要注意です。

内臓が傷み始めているサインなので、その個体は除いてから仕込みましょう。

 

一番大切なのは、なるべく当日入荷のものを選ぶことです。

魚醤は長期発酵する調味料だからこそ、スタートの鮮度がすべてを左右します。

魚に強いスーパーや魚市場を覗いてみるのがいいでしょう。

 

STEP2|下処理をする(丸ごと仕込みの工程)

アジは丸ごと仕込みます。

キビナゴのような小魚とは違って、1匹ずつ下処理できるサイズではあるので、

雑味の原因になる部位をきちんと取り除いていきましょう。

 

① ゼイゴ(尾の手前にあるトゲトゲした硬いウロコ)を包丁でそぎ落とします。

※ゼイゴはアジ特有の部位です。

残しても悪さをしませんが、少しでも雑味をなくすために取り除いています。

 

② ウロコを丁寧に引き落とします。

アジのウロコは細かいので、包丁の背でしごくようにすると取りやすいです。

 

③ エラを取り除きます。

エラは雑味と臭みの最大の原因ですので、必ず除去してください。

エラは付け根をチョキチョキ切るだけで、手を汚さずにきれいに外すことができます。

 

④ 腹を開いて内臓を出し、腹腔内の血合い(背骨に沿った黒い部分)を流水でよく洗います。

青魚の内臓は臭みが強く出やすいため、内臓は入れないのが無難です。

腹を開くのも、肛門からハサミを入れてスーッと切り上げるだけで、あっという間にできます。

 

⑤ 頭を半割りにします。

小ぶりの個体はそのままでもOKですが、半割りにした方が塩の浸透が早まります。

 

⑥ 胴は甕に収まるサイズにぶつ切りにします。

骨ごと断面を出すことで、自己消化酵素が働きやすくなります。

 

⑦ キッチンペーパーで全体の水気をしっかり拭き取ります。

 

アジの下処理で特に大切なこと

アジは青魚なので、白身魚に比べて鮮度の低下が早い魚です。

下処理はできるだけ手早く行うようにしてください。

買ってきたらその日のうちに仕込むのが鉄則です。

「明日やろう」は、魚醤づくりでは禁物です。

 

STEP3|漬け込む

水気を切ったらすぐに漬け込みを開始します。

① 容器の底に塩をひとつかみ振ります。

② 魚を平らに並べます。※重ね過ぎない

③ 塩をまんべんなく振ります。

切断面や腹腔内にもしっかり塩を入れてください。

④ ①~③を繰り返して層を重ねます。

⑤ 一番上は塩で厚めに覆います。

 

注意する点は1つだけです。

それは塩が偏らないように気を付けること

塩が一箇所に固まってしまうと、塩の薄いところができて腐敗のリスクになります。

全体にむらなく行き渡るよう、各層ごとにしっかり振るようにしましょう。

 

STEP4|液面を覆って重石をする

① 熊笹か経木で液面全体を覆います。

② 押し蓋を乗せます。

③ 重石をして全体が液中に沈むようにします。

④ 蓋をして冷暗所で保存します。

熊笹を使うと産膜酵母が出にくくなります。

熊笹には天然の抗菌成分が含まれているので、液面を覆っておくだけで管理がずいぶん楽になります。

熊笹が手に入らない場合は、経木(昔ながらの納豆の梱包材)でも代用できます。

ラップは一時的には有効ですが、長期間保存する場合にはカビが発生しやすく向きません。

 

STEP5|仕込み記録をつける

あとで振り返るためにも、必ず記録しておきましょう。

 

  • 仕込み日:
  • アジの重量(匹数):
  • 塩の量:
  • 副材料:
  • 保管場所:
  • 気づいたこと(脂のノリ具合、個体のサイズなど):

 

その時は気にならない小さなことでも、後で重要になってくる項目もあります。(特にうまくいかなかった場合)

面倒でも必ず記録するようにします。

 

5. よくある失敗と対策

失敗① 白い膜が液面に張ってきた

原因: 産膜酵母という酵母が増えています。

腐敗ではないのでパニックにならないで大丈夫です。

 

対策: 膜をスプーンで丁寧に取り除いて、塩をひとつかみ追加します。

そのあと撹拌して液面を密閉します。

空気に触れないことで産膜酵母のさらなる発生を防ぐことができます。

多くの場合はこれで落ち着きます。

 

失敗② 開けるとアンモニア臭や腐敗臭がする

原因: 腐敗菌が増殖している可能性があります。

 

対策: 臭いが強い場合は残念ながら廃棄が安全です。

改善策としては、

✔ 塩を魚:塩 = 2.5:1に増やす(通常は魚:塩 = 3:1)
✔ エラと内臓の除去を徹底する
✔ 仕込み初期の撹拌を毎日行う

がありますので、次回作るときの参考にしてください。

 

失敗③ 液面に脂が浮いてきた

原因: 青魚特有の現象です。

アジは旬前の個体でも、ある程度の脂を含んでいます。

発酵が進むと脂が液面に浮いてくることがあります。

 

対策: 浮いてきた脂はスプーンですくい取ってください。

放置すると空気に触れて酸化し、脂やけの原因になります。

撹拌のタイミングで一緒にチェックするのがおすすめです。

 

失敗④ 臭いだけで旨味が感じられない

原因: 発酵期間が短すぎる可能性が高いです。

 

対策: もう少し待ちましょう。

半年ほどで液の色が濃くなってきますが、旨味が十分に出るにはもう少し時間がかかります。

アジの魚醤は、早くて1年、しっかり熟成させるなら1年半が目安です。

 

失敗⑤ 液体が増えない(魚が溶けない)

原因: 撹拌が少ない、または塩が偏っている場合が考えられます。

 

対策: 週に1回程度、底からしっかりかき混ぜてみてください。

塩が均一に行き渡ると、発酵が進んで液体が増えてきます。

 

6. まとめ

アジ魚醤をうまく作る3つのポイント

 

鮮度の良いアジを選ぶ。買ったその日に仕込む

青魚は鮮度の低下が白身魚よりも早いです。

「明日やろう」は禁物。

当日仕込みを徹底してください。

 

エラと内臓の除去と、脂の管理を丁寧に

青魚ならではのひと手間です。

発酵中に浮いてきた脂もこまめにすくい取りましょう。

 

仕込みの初期段階はこまめに撹拌する

最初の1ヶ月は、最低でも3日に1回は腐敗を防ぐために混ぜるようにしましょう。

 

仕込み自体は20〜30分あれば十分できます。

材料も魚と塩だけと、あれこれ用意する必要はありません。

 

脂が控えめで管理が楽、気温が低くて雑菌が繁殖しにくい、

そして塩がなじんだ状態で夏越しできる。

春のアジは、初めての魚醤づくりに必要な条件がそろっています。

 

スーパーで新鮮なアジが安く並んでいるのを見かけたら、チャンスです!

 

発酵の経過、熟成の様子は続きの記事で

仕込んだあとの月ごとの変化(色や香り、味の移り変わり)と、漉し方や保存方法については別の記事でくわしくご紹介しています。

 

▶︎ 【続き】アジ魚醤の発酵経過と完成、漉し方|12ヶ月の記録 →近日公開予定

 

道具をまとめて紹介します

魚醤作りにおすすめの道具や材料をまとめました。

結果が出るまでに1年以上かかるからこそ、妥協はしたくない。

そんな想いで探したわが家には欠かせないアイテムです。

一度揃えると、毎年仕込むのが楽しみになってきますよ。

 

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おすすめの陶器製の甕(楽天市場)

▼ 下処理の時短に欠かせない、切れ味抜群の料理ばさみ
切れ味抜群のハサミ(楽天市場)

▼ 一粒食べると納得する、おすすめの天然海塩
未精製の海塩(楽天市場)

▼ 熊笹がみつからなかった時の救世主、昔なつかしい経木

使い勝手抜群の経木(楽天市場)

 

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