9月になり、日中は30度を超える日もありますが、
朝晩はだいぶ過ごしやすくなってきました。
新学期が始まり、夏休みのお昼ごはん作りからも解放され、
ホッと一息…なのはいいのですが、
生活のリズムが整わなかったり、急に暑さが戻ってきたりと、
体調も崩しがちになってしまう季節でもあります。
そんな時だからこそ、しっかり栄養を摂ってもらいたい!
食欲がなくても、さっぱりとした味わいのものは不思議と箸が進みます。
最近わが家では、サッとかけるだけで魚や野菜が美味しく食べられるある調味料が人気です。
それが「煎り酒」です。
いりざけと読む、あまり聞きなれない名前の調味料ではありますが、
室町時代から親しまれている、塩味のある調味料です。
煎り酒は日本酒、梅干し、昆布、鰹節を合わせて煮詰めたもので、
醤油と同じように使われていました。
![](https://urban-slow-life.com/wp-content/uploads/2021/12/a395ce5ad04f5375205d15e09fa901f7.png)
煎り酒って、初めて知りました。
何となく味は想像できるのですが、使うイメージが湧きません。
初めての調味料は、なかなかハードルが高いもの。
買ってはみたものの、数回使って冷蔵庫の主と化してしまうのはもったいない。
何を隠そう、以前のわが家がそうでした…
市販の煎り酒を試してみるのもいいですが、実は意外と簡単に作ることができるんです。
自分で作ると何がどのくらい入っているのか分かるので安心ですし、材料の量も調整しやすく、
これだ!という味を探す楽しみもあります。
しかも煎り酒は、味噌や豆板醤のように発酵がすすむのを待つ必要がありません。
出来たらすぐ食べることができるので、気軽にチャレンジできます。
この記事では、
✔ 一度作ればクセになる⁉究極の煎り酒の簡単な作り方
についてご紹介します。
一度作ればクセになる⁉究極の煎り酒の簡単な作り方
一般的な煎り酒は梅干しを使いますが、種を取り除く作業が結構大変です。
たくさん作ろうと思うと、それなりに時間もかかります。
そこでおすすめなのが「梅酢」を使う方法です。
材料について
煎り酒の材料は、梅酢と日本酒と魚醤とみりんです。
そこにかつお節で旨味をプラスします。
梅酢について
梅酢は梅干しを漬ける時にできる副産物です。
梅に塩をまぶして重石をすると、梅から水分が上がってきます。
少し舐めてみるとガツンとしょっぱくて、ほんのり酸味があります。
この薄ピンク色の液体が「白梅酢」です。
さらに白梅酢に赤紫蘇を加えると、梅も液体も赤く着色されます。
これが「赤梅酢」または「紅梅酢」と呼ばれるもので、紅生姜などの漬物を作るのに重宝します。
煎り酒には、赤紫蘇を加える前の白梅酢を使います。
料理酒(日本酒)について
料理酒には無塩タイプと加塩タイプがありますが、煎り酒には塩の入っていない無塩タイプを使います。
料理酒がない場合は、辛口の日本酒がおすすめです。
魚醤について
魚醤とは魚を塩漬けにして長期間発酵させる、日本の伝統的な調味料です。
海に囲まれている日本では、昔から各地方で作られています。
よく知られているものには、
✔ ハタハタで作る、秋田の「しょっつる」
✔ イワシやイカで作る、石川の「いしる(いしり)」
✔ イカナゴで作る、香川の「いかなご醤油」
があり、日本三大魚醤とされています。
日本だけではなく、魚醤は世界中で作られています。
その中でもタイのナンプラーは、スーパーなどでも購入することができる、
最もポピュラーな魚醤のひとつです。
魚醤がなければ醤油で代用することもできますが、魚のエキスが凝縮した魚醤を加えると、
旨味が格段に違います。
魚醤も最短3か月で作ることができます。
今回は、ヒラメの魚醤を使います。
みりんについて
わが家では、千葉の白味醂(みりん)を使っています。
国産のもち米を使って、昔ながらの製法を守り続けている本みりんです。
本みりんには糖類が添加されているものと、もち米の甘味のみで作られているものがあります。
佐倉・馬場本店酒造の「最上白味醂」や野田・窪田酒造の「流山本みりん」は、
どちらも糖類などの添加のない伝統的な本みりんです。
今回は、最上白味醂を使います。
かつお節について
かつお節は、カビ付けの回数や熟成期間によって「荒節」「枯節」「本枯節」に分けられます。
また削り方も「薄削り」「厚削り」「細削り」など、様々です。
今回は濃いだしを取るため、厚削りの枯節を使います。
・日本酒 300㏄
・ヒラメの魚醤 100㏄
・本みりん 100㏄
・厚削りのかつお節 ひとにぎり
レシピ
①鍋に日本酒とかつお節を入れ、弱火で5分煮ます。
②魚醤と本みりんを入れ、さらに5分煮出します。
③火を止め、蓋をして1分蒸らします。
④漉して、白梅酢と合わせます。
調理時間およそ15分、煮立たせて混ぜ合わせるだけで…
\完成です/
保存について
煎り酒は塩分量が少ないため、冷蔵庫での保存がおすすめです。
長期保存には向きませんので、一度にたくさん作るより、
1~2週間分を作るのがいいかなぁと思います。
「鰹だし」と「昆布だし」の違い
今回はかつお節を使いましたが、昆布を使ったりその両方を混ぜて使ったり、
特に決まりはありません。
強いて言えば、食べやすさ重視の方はかつお節を、
より上品な味わいを求める方は昆布を入れるのがおすすめです。
ただ昆布だけの場合、わが家のように濃い味好きの方には、
少し物足りなさを感じるかもしれません。
そばつゆが関西と関東で違いがあるように、味の好みは分かれます。
ちなみにわが家の子供たちは、かつおだしの方が好きなようです。
また昆布は少し粘り気が出ますので、入れ過ぎには注意してくださいね。
「白梅酢」を「赤梅酢」にするとどうなるか
一度だけ白梅酢ではなく、赤梅酢を使って煎り酒を作ったことがあります。
これは紫蘇の香りが強すぎて、梅の香りやだしの旨味をあまり感じませんでした。
白梅酢の方が食材本来の味を引き立ててくれるので、使いやすいです。
梅酢の塩分濃度
梅干し漬ける塩分濃度は、家庭によって差があります。
だいたい10~15%くらいでしょうか…
わが家では通常15%で、長期熟成用は20%で漬けています。
この煎り酒のレシピは、塩分15%を想定して作っています。
塩味が足りないと感じる場合は、少し塩を足してみてください。
まとめ
煎り酒
おすすめの時期
いつでも、特に初夏~秋
かかる時間
20分
保存
冷蔵
今回は伝統的な煎り酒を、わが家が作りやすい方法にアレンジしました。
あっさりとした味わいの中にも、しっかりとした旨味があり、
醤油やポン酢とは違った楽しみ方ができます。
特に完熟梅を漬けた梅酢を使うと、梅本来の甘味が加わり、
風味がより豊かになります。
ちなみに「酒」と名前には付いていますが、一定時間煮切ってアルコール分を蒸発させていますので、
めんつゆなどと同じように使うことができます。
それに醤油を使わないので、小麦や大豆のアレルギーの方にもおすすめです。
(※市販の煎り酒を購入する場合は、原材料を確認してください。)
魚や野菜が驚くほど美味しく食べられる万能調味料、
暑さ疲れのこの季節、煎り酒をかけてさわやかに乗り切りましょう!
長くなってしまいましたので、今回はこの辺で。
次回はおすすめの使い方をご紹介します。
難易度が高い⁉材料探し
梅酢がない!魚醤がない!!
そうなんです…
わが家は材料から作っているものが多く、なかなか揃わないこともあるかと…
スーパーではなかなか見かけない食材も、道の駅などの直売所には置いてある可能性が高いです。
梅酢は土用干しが終わる7月下旬頃から、店頭に並びはじめます。
また遠方でそこまで行くのが難しい時は、オンラインショップでも購入することができます。
私は生産者の方から直接送っていただける「食べチョク」が好きで、よく利用します。
ただ梅酢はそれほど出品されていないようなので、
見付けたらラッキー!くらいの気持ちで探してみてください。
![](https://image.moshimo.com/af-img/1203/000000029525.jpg)
そして味の要でもある魚醤は、迷ってしまうくらい種類がたくさんあります。
魚の種類や熟成期間によって、味わいも香りも全く違います。
私自身がナンプラーを使いこなせなかった経験もあり、魚醤を選ぶのはかなり慎重派です。
中でも「白身魚」の魚醤はクセが強くなく、比較的使いやすいです。
選ぶ時のポイントも説明していますので、参考にしてください。
今回使ったおすすめの調味料
最上白味醂
この記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。