白身魚の魚醤の作り方:高級魚で作る和食に特化した発酵万能調味料

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魚醤
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こんにちは。

都内で発酵ワークショップnanairo!を主宰しています、マキ太です。

はじめての方は、こちらもどうぞ。

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自家製の発酵食品を使った料理は、Twitterでほぼ毎日更新中。

マキ太@発酵生活

 


 

最近、料理雑誌などでも取り上げられることが多い魚醤

 

魚醤(ぎょしょう)とは、魚を塩漬けにして長期間発酵させる日本の伝統的な調味料です。

 

わが家では、味がなかなか決まらない時に、

「ちょっと魚醤足してみようかな。」と、軽い気持ちで使っています。

ほぼ毎日なので、味噌と同じくらい登場しているかもしれませんね。

自家製魚醤

 

✔ ナンプラーを使いこなせなかった私が、どうして魚醤を作ることになったのか
✔ 魚醤は毎日使える「最高に優秀なだし」だと思う理由
✔ だれでも作ることができる!「自家製魚醤の完全マニュアル」

について、まとめた記事です。

 

魚醤の全体像を掴むのに役立ちます。

 

日本だけではなく、魚醤は世界中で作られています。

その中でも、タイのナンプラーは、

スーパーなどでも購入することができる、最もポピュラーな魚醤のひとつです。

 

においの強い魚醤が苦手で…

魚の種類によって、味や香りは違いますか?

 

色々な魚で作ることができる魚醤ですが、魚によって味わいは異なります。

今回は、クセの少ない魚醤に興味がある方の質問にお答えします。

 

この記事では、

✔  クセの少ない上品な味わいの魚醤の特徴
✔ 「魚醤は最高に優秀なだし」和食への活用法
✔ 魚によって作り方が変わる!和食に特化した魚醤を作る方法

について、まとめました。

 

クセの少ない上品な味わいの魚醤の特徴

一口に魚醤と言っても、漬ける魚と熟成期間が違うと、

まるで別のカテゴリーの調味料であるかの如く、色も香りも味わいも異なります。

 

市販されている魚醤を調べてみると、

赤身魚では、「鰯(イワシ)」「鯖(サバ)」「鯵(アジ)」「秋刀魚(サンマ)」「鰤(ブリ)」「鰹(カツオ)」「キビナゴ」、

白身魚では、「鮭(サケ)」「鯛(タイ)」「キンキ」「鮎(アユ)」「鰰(ハタハタ)」「飛魚(トビウオ)」「金目鯛(キンメダイ)」と、

色々な魚が使われていることが分かります。

 

しかも、魚以外では「イカ」や「雲丹(ウニ)」や「帆立(ホタテ)」、

「海老(エビ)」や「牡蠣(カキ)」を使ったものもありました。

 

市販の商品の中には見つけることができませんでしたが、

わが家ではその他に、「鮃(ヒラメ)」や「鰈(カレイ)」、

「魴鮄(ホウボウ)」や「メヒカリ」などでも作っています。

色々な魚で作る自家製魚醤

 

この「ヒラメ」「カレイ」「メヒカリ」「ホウボウ」には、ある共通点があります。

それは、すべて白身魚だということ。

 

この白身魚こそが、クセの少ない上品な味わいの魚醤を作る最大のコツです。

 

「魚醤は最高に優秀なだし」和食への活用法

白身魚を使った魚醤は、イワシなどの赤身魚(青魚)で作られているものとは、

風味が異なります。

ひと言で表現すると、「魚臭くない」というところでしょうか。

 

わが家では、魚以外の魚介類を使用した魚醤は作ったことがないので、

今回は魚類に限定してお話しします。

 

輸入食品を扱っているお店でも、

タイのナンプラーやイタリア・シチリア島のコラトゥーラという魚醤は、

比較的購入しやすいようです。

これらは、カタクチイワシという赤身魚を原料としています。

片口鰯

 

日本国内でも海外でも、主流はカタクチイワシを使った魚醤です。

 

タイ料理には、これにはナンプラーがないと!というレシピが数多く存在します。

ガパオライス

 

ガパオライスやトムヤムクンがまさにそうで、

少し多めに加えて主張を強めにすることで、味のすべてが完成します。

 

ナンプラーを和食に使ってる方もいらっしゃるかもしれませんが、

私のように長期熟成させたクセの強い魚醤が苦手な方には、

あまり味の想像ができないかと…

 

和食には、やはり日本の魚醤がおすすめです。

本格的なアジア料理やエスニック料理、パスタなどのイタリア料理など、

家で作る機会があまりない和食派の方には、

オールマイティーに活躍するカタクチイワシの魚醤より、

香りの穏やかな白身魚の魚醤がおすすめです。

 

それが一番よく分かるのが、卵料理です。

 

お弁当の玉子焼きや、ちらし寿司にのせる錦糸卵を食べると、

一瞬で魅入られてしまいます。

 

以前は白だしやめんつゆ、砂糖などを使っていましたが、

今では白身魚の魚醤と本みりんを少し加えるだけ。

卵本来の旨味をより感じるようになりました。

玉子焼き

 

他にも、茶わん蒸しやかに玉のように、

卵をメインに味わう料理にもおすすめです。

 

もちろん、そばの漬け汁や煮物にも、

定番のカタクチイワシの魚醤と同じように使うことができます。

すんきそば

 

次の章では、白身魚の魚醤の作り方を、

具体例を挙げてご紹介します。

 

魚によって作り方が変わる!和食に特化した魚醤を作る方法

こだわりの材料選び

魚醤の材料は、新鮮な魚と塩だけです。

 

塩について

次に、保存性を高めるために重要な役割を果たす塩ですが、

精製された塩ではなく、ミネラルが豊富に含まれる粗塩を選んでいます。

塩

 

平釜でじっくり炊き上げられた昔ながらの塩は、

素材との馴染みがよいと言われています。

 

白身魚の魚醤の材料
お好みの白身魚・・・できるだけ1㎏以上
塩・・・魚の重量の3割

 

少量でも作りたい!白身魚を使った魚醤の作り方

魚醤は、大きく「仕込み」「濾過(ろか)」の2つの工程に分けられます。

 

仕込みの工程

まずは仕込みの工程ですが、これは魚によってというより、

使う部位によって異なります。

 

メイタガレイの場合

メイタガレイは、産卵期を迎える前の秋から初冬が、

一番美味しい旬の時期とされています。

メイタガレイ

 

大きいものは、刺身にしても煮魚にしても食べ応えがありますが、

小さいものは、身の可食部もあまり多くないので、

丸ごと唐揚げにするくらいでしょうか…

 

ちなみに10月に購入した小ぶりのメイタガレイですが、100g当たりなんと28円!

白身魚にしては破格のお値段です。

 

味はいいけど、ちょっと手間が掛かってしまうような小さい個体の白身魚は、

魚醤作りにはうってつけの食材です。

メイタガレイの魚醤

 

小ぶりとは言え、ぶつ切りにする必要はありますね。

 

材料や細かい注意点は、こちらにまとめています。

 

メヒカリの場合

メヒカリは、都内のスーパーではあまり見かけない魚です。

一方、海の近くにある千葉のスーパーでは、

イワシやアジなどと同じくらいメジャーな魚でもあります。

メヒカリ

 

冬から春にかけてが旬の時期とされ、

身の柔らかさや甘味のある感じは、ハゼに似ています。

 

メヒカリは、唐揚げにして食べるのが一般的です。

揚げ物をあまり作らないわが家でも、子供たちからのリクエストで作ることがあります。

スーパーにはあまり並ばないメヒカリですが、小学校の給食の献立表を見ると、

月に1度は登場しているようです。

子供たちは知っています!その美味しさを。笑

 

丸ごと唐揚げにもできるメヒカリですが、頭と内臓を取り除くことで、

身の甘味を感じやすくなります。

捌いた後のメヒカリ

 

そのためわが家では、身を取り分けた後の「頭と内臓」で魚醤を作ることが多いです。

メヒカリの頭と内臓

 

一度に沢山作りたい時にはあまり向かない方法ではありますが、

「食べやすい唐揚げ」と「上品な魚醤」が同時にできるのは嬉しいです。

 

ホウボウの場合

ホウボウは、地域によってはお食い初めの魚として親しまれている、

由緒正しき白身魚です。

 

わが家にとっては、まさにアイドル的存在です。

ホウボウ

 

身は、刺身や昆布締めにしてもよし!

ホウボウの昆布締め

 

開いて、一夜干し(干物)にしてもよし!

ホウボウの干物

 

和食以外でも、オリーブオイルとトマトでアクアパッツァにしたりと、

汎用性の高い魚です。

 

気付かずに捨てられてしまうことの多い浮袋も、

ホウボウの浮袋

 

乾燥させると高級食材の「魚肚(ぎょと)」となり、スープなどに大活躍です。

ホウボウの魚肚

 

大きいものは、料亭やお寿司屋さんに納められることが多いようですが、

小さいものは、比較的購入しやすい価格で売られています。

 

一度にたくさん手に入った時は、丸ごと魚醤にすることもありますし、

身と浮袋を取り分けた後の「頭と骨と内臓」だけを使うこともあります。

メヒカリの魚醤

 

魚醤としても優秀で、味・香り・色すべてが一級品です。

 

ヒラメの場合

高級魚として知られているヒラメですが、身以外の部位はというと、

あら汁にする以外にあまり活用法はないように思います。

ヒラメ

 

ヒラメの魚醤は、まさに「キング オブ 魚醤」と言っても過言ではありません。

 

五枚おろしにしたヒラメは、身をそのまま刺身や昆布締めにします。

 

残りの「頭と内臓と骨」を使って魚醤を作る点は、他の白身魚と変わりませんが、

大きめのヒラメやカレイの場合に、特に注意したいことがあります。

 

それは、縁側(エンガワ)を入れないこと。

ヒラメの魚醤

 

これはカタクチイワシの魚醤の記事でも説明しましたが、

脂の強い魚で魚醤を作ったり、脂身の多い部位を入れると、

液体の表面に脂が浮いてきて膜のようになります。

 

この脂は発酵するにつれて酸化するので、魚醤の味も風味も悪くしてしまいます。

これは「脂やけ」と呼ばれる現象です。

 

また、脂の部分だけを取り除くこともできるのですが、

漉す時もペーパーフィルターが詰まってしまい、

漉しにくいという難点があります。

 

一番美味しいとも言われている部位ですので、そのまま刺身でいただくのが正解です。

 

先程のメイタガレイのように、丸ごと唐揚げにできるくらいの大きさのものは、

そのまま一緒に漬け込んでしまって構いません。

 

濾過の工程

次に「濾過」、つまり漉す工程です。

 

必ず2回行います。

 

1回目は、骨などを取り除くためにザルを使います。

魚醤を漉す

 

2回目は、液体の濁りの原因である細かいウロコなどを取り除くため、

コーヒー用のペーパーフィルターを使います。

ペーパーフィルターで漉す魚醤

 

2回の濾過の工程を終えた魚醤は、透き通った琥珀色になります。

 

 

加熱処理する場合がほとんどですが、わが家では加熱はしません。

そのため、酵素の働きにより発酵は続きます。

 

発酵状態が続いているため、常温で保存すると、

漉した時よりも味も香りも濃くなります。

 

あっさりとした味わいが好みの方は、冷蔵保存がおすすめです。

 

血抜きについて

赤身魚では必須ともされる「血抜き」についてですが、

白身魚では必ずしも行う必要はありません。

 

鮮度のいい魚を選ぶのは、赤身魚同様に大切です。

活〆のマトウダイ

船上活〆のマトウダイ

 

最もあっさりとした上品な味わいの魚醤を作る方法

白身魚を使った魚醤は、全体的にあっさりとした仕上がりになるのは間違いありません。

 

その中でも、最も香り高い魚醤を目指したい方におすすめの方法があります。

それは、大型の白身魚を使うことです。

 

理由は、その魚の食性が地味に関係しているから。

 

例えば、ヒラメを例に挙げると、

小さいヒラメはアミ類を食べ、成魚になるとカタクチイワシなどの小魚を食べます。

先程紹介した1㎏のヒラメの胃の中からも、未消化のカタクチイワシが出てきました。

ヒラメの胃の中のカタクチイワシ

 

以前購入した2㎏オーバーのヒラメからは、

カタクチイワシよりもさらに大きい、白身魚のメヒカリが出てきました。

 

その時の刺身は、上品な甘味があり、

とても美味しかったです。

 

ヒラメに限らず、ホウボウや真鯛もまた、

エビなどの甲殻類から、小さな魚へ食性が変化します。

 

食べているものによって身の味が違うように、魚醤の仕上がりもまた、

多少ではありますが違っているように感じます。

 

最高に上品な味わいの魚醤を作ってみたい方は、

個体の大きな白身魚を選んでみてはいかがでしょうか。

 

熟成期間はお好みで

魚醤の味や香りは、魚の種類はもちろん、

熟成期間によっても大きく変わります。

 

市販の魚醤は、1年以上熟成させたものが多く、

中には3年間長期熟成させたものもあります。

 

商品化までに数年かかるのであれば、小瓶で数千円というのも頷けます。

 

では、熟成が進むとどうなるのでしょう?

 

塩味は若干マイルドになりますが、一方で香りが徐々に強くなります。

特に1年以上熟成させたものは、強烈な香りになります。

 

香りが穏やかな魚醤が欲しい時は、3か月程で漉すのがおすすめです。

私自身強い香りが苦手なので、仕込んだことを忘れて長期熟成になってしまった場合を除き、

ほとんど1年以内で漉しています。

 

それでも、魚の旨味は十分に感じることができます。

 

これが正解!というものがないのが、発酵の世界です。

熟成期間も自分の好みの味を追求して、いろいろ試してみましょう。

 

漉した後、加熱する場合の注意点

発酵がそれ以上進まないように、加熱する場合があります。

 

やり方としては、ザルで漉した後に鍋に入れて火にかけ、

沸騰したら弱火にして5分程煮立たせます。

 

その後、さらしやペーパーフィルターを使って漉します。

 

火入れすることで発酵は止まりますので、

特に長期熟成させた魚醤の場合は、覚えておくと便利です。

 

容器について

わが家では、主にガラス瓶や陶器(つぼ)を使います。

においがつくので、プラスチックの容器はあまりおすすめできません。

 

広口のものの方が中のものが取り出しやすいので、果実酒用の瓶を使うことが多いです。

 

陶器は、中の様子が見えにくいという難点はありますが、

外からの影響を受けにくいので、長期保存には向いています。

 

わが家ではチャレンジしたことがありませんが、イタリアのコラトゥーラは、

木樽を使って作られています。

風味が加わって、さらに美味しい魚醤ができるかもしれません。

 

まとめ

この記事では、クセの少ない魚醤に興味がある方に向けて、

白身魚の魚醤の作り方を中心にお伝えしました。

 

白身魚の魚醤のメリットは、

✔ 上品な香りで和食との相性がいい
✔ 魚臭さが目立たない
✔ めんつゆなどの旨味調味料がいらない
✔ 小麦・大豆アレルギーでも、醤油の代用品として使うことができる

 

熟成期間によって味わいが変わるには、赤身魚の魚醤と同じですが、

和食派の方には白身魚の魚醤が断然おすすめです。

自家製魚醤

 

市販されている白身魚の魚醤から選ぶ難しさ

「魚醤って、何を選んでいいのか分からない…」と悩んでいる方へ。

 

アジア料理やイタリア料理には、カタクチイワシの魚醤を、

白だしや薄口しょうゆの代わりに和食に使うのは、白身魚の魚醤を、

料理に合わせて使い分けるのも面白い魚醤ですが、

市販されている白身魚の魚醤から、これだ!という1瓶を見つけるというのは、

実はとても難しいようです。

 

本来魚醤は、魚と塩だけで作ることができるものですが、

市販品は、熟成期間を短縮するために麹を加えたものや、

味わいがマイルドになるように砂糖が添加されたものなど、

塩以外の調味料が入っているものもあります。

 

それは赤身魚にも言えることですが、白身魚の場合、

それに加えて魚自体の単価が高いこともあり、

一切混ぜ物のない魚醤を探すのは至難の業です。

 

川魚の「ハタハタ」「サケ」「アユ」は、比較的塩と魚だけで作られているものが多いようですが、

海で採れる白身魚に関しては、残念ながら見つけることができませんでした。

 

魚醤作りの目的が、「捨ててしまう部位の有効活用」とされている以上、

仕方がないところではあります。

 

ないものは作るしかない!

身近な白身魚で是非チャレンジしてみてください。

 


 

もう少し魚醤について知りたい方へ、

メニューの「自家製調味料」の中に、「魚醤」の記事をまとめています。

わが家で作っている魚醤の一部を紹介していますので、よろしければご覧ください。

魚醤の記事一覧はこちら

 

この記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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