透き通る、琥珀色に輝く液体。
わが家の白身魚の魚醤は、うっとりするほど美しい一本です。
……でも、わかります。
「きれいすぎて、もったいなくて使えない」
そのお気持ち。
市販の白身魚の魚醤はなかなかお高いですし、
手作りなら1年以上かけて仕込んだ、まさに我が子のような存在ですから。
でも、声を大にして言わせてください。
魚醤は、使ってこそ、その良さがわかります。
特に白身魚の魚醤は、和食にこそ力を発揮します。
和食が好きな方も、
「最近、外食続きで和食らしいもの食べてないな」という方も、
「和食ってなんかテンション上がらないんだよね」という洋食好きのお子さんも。
ぜひ、一度食べてみてください。
白身魚の魚醤を使った和食は、
身体にすっとなじんで、身体が喜んで、ほっと安心する。
そんな、優しい味わいなんです。
この記事では、わが家のおすすめ5品をご紹介します。
「白身魚の魚醤って何?」「まだ持っていない」という方は、先にこちらを。

この記事で紹介するレシピ
① のり汁(お吸い物)
② 鮭の炊き込みごはん
③ だし巻き卵
④ 野菜のおひたし・煮浸し
⑤ タラの真薯(しんじょ)と、万能あんかけ
使う前に──白身魚の魚醤は「たっぷり」使う
レシピの前に、ひとつ大事なことを。
白身魚の魚醤は、思い切ってたっぷり使ってください。
「えっ、こんなに?」と驚くくらいで、ちょうどいいんです。
ここで知っておいてほしいのが、魚醤は一本一本、塩分濃度が違うということ。
ちなみにわが家では、白身魚より青身魚の方が全体的に塩分濃度は高めです。
塩の量や種類で味がどう変わるかは、こちらの記事もどうぞ。
→なぜ青魚は塩が多いの?『魚醤の塩分比率』を魚の種類で変える理由
市販品も、手作りも、それぞれ塩加減が異なります。
違って当然なのです。気候も魚種も違うんですから。
だからこの記事の分量は、あくまで目安。
「魚醤をたっぷり入れて、最後は塩で味を整える」
この考え方を覚えておくと、どのレシピも失敗しません。
塩味は塩で調整できますが、旨味は魚醤からしか出ない。
だから、旨味はしっかり魚醤で入れてしまうのが、わが家の流儀です。
① のり汁(お吸い物)──だしを飲む、という贅沢
最初にご紹介したいのが、のり汁です。
これはもう、「だしを飲む」という感覚のお吸い物。
具はシンプルに、絹ごし豆腐一択。
あとは、あってもわけぎか三つ葉くらいで十分です。
余計なものを入れないことで、だしと魚醤の旨味がまっすぐ伝わります。
そして、のりは焼きのりではなく、生のりが絶対おすすめ。
生のりの磯の香りと、白身魚の魚醤の旨味が出会うと、
ほっとため息が出るような、優しい一杯になります。
材料(2人分)
✔ だし……600ml(下記参照)
✔ 白身魚の魚醤……大さじ4〜(たっぷり!)
✔ 絹ごし豆腐……1/2丁
✔ 生のり……大さじ2〜3
✔ お好みで:わけぎ、三つ葉
✔ 塩……味を調える分
だしについて
わが家では、2種類を粉末だしを使い分けています。
① かつお節+サバ節の混合だし
② カタクチイワシの煮干し+アジの煮干しの混合だし
だしは多めでOK。
白身魚の魚醤との相乗効果で、旨味が何倍にも膨らみます。
胃が疲れているとき、体調がいまひとつ整わないときでも、
このお吸い物だけは不思議と飲めるんです。身体がほっとする味。
この2種類のだし粉については、近日まとめて記事にする予定です。
→常備したい2種類のだし粉(近日公開予定)
作り方
① 鍋に水とだし2種類を入れ、温めます。
② 白身魚の魚醤をたっぷり加えます。目安は、水1リットルに対して魚醤100ccくらい。
③ 味見をして、足りなければ塩で調えます。
④ さいの目に切った絹ごし豆腐を加えて温めます。
⑤ 火を止める直前に生のりを入れて完成。わけぎや三つ葉はお好みで。
<コツ> はまぐりやしじみのように、もともと旨味の強い素材を使うときは、だし粉はいりません。魚醤だけで味が決まります。その場合も、1リットルに100ccを目安に、あとは塩で調整してください。
もっと詳しいのり汁のレシピは、こちらにまとめています。
② 鮭の炊き込みごはん──炊き込みごはんの素は、もう要りません
白身魚の魚醤を使った炊き込みごはんは、
驚くほど簡単で、驚くほど美味しい。
はじめに作ってほしいのが、鮭の炊き込みご飯です。
鮭の切り身と、がごめ昆布と、魚醤と、日本酒を入れて、いつも通りに炊くだけ。
炊きあがったら、三つ葉やわけぎ、大葉を加えて蒸らせば完成です。
優しい香りが立ちのぼって食欲がわき、口に入れると旨味がふわっと広がります。
冷めても美味しいので、お弁当にもおすすめです。
材料(2合分)
✔ 米……2合
✔ 鮭の切り身……2切れ
✔ がごめ昆布(刻み昆布)……ひとつまみ
✔ 白身魚の魚醤……50cc
✔ 日本酒……50cc
✔ 塩……ひとつまみ
✔ 仕上げに:三つ葉・わけぎ・大葉など
作り方
① 米を研いで鍋(または炊飯器)に入れます。
② 白身魚の魚醤・日本酒・塩を加え、いつも通りの水加減にします。
③ 鮭の切り身とがごめ昆布をのせて、普通に炊きます。
⑤ 火を止めてすぐに、三つ葉やわけぎや大葉を加えて、少し蒸らします。
④ 炊きあがったら鮭の骨を取り除き、身をほぐして全体を混ぜます。
<アレンジ> ・ごぼうのささがき+梅干し+魚醤+日本酒で、さっぱりと ・舞茸+油揚げ+魚醤+日本酒で、香り豊かなきのこごはんに
具材を変えれば、バリエーションは無限大。
炊き込みごはんの素は、もう買う必要はありません。

③ だし巻き卵──毎日食べても飽きない、お弁当の定番
白身魚の魚醤を加えただし巻き卵は、
だしを別に取らなくても、ふっくら旨味たっぷりに仕上がります。
わが家では、お弁当のおかずにほぼ毎日登場。
それでも、毎日食べても飽きないんです。
魚醤の優しい旨味が、卵のおいしさをそっと引き立ててくれます。
材料(卵1個あたりの目安)
✔ 卵……1個
✔ 白身魚の魚醤……小さじ1
✔ 本みりん……小さじ1(甘いのが好きな方) 砂糖の添加のないものがおすすめ
✔ 白ごま油……少量
作り方
① 卵を割りほぐし、白身魚の魚醤(と、お好みで本みりん)を加えて混ぜます。
② 卵焼き器を熱し、香りの強くない白ごま油を少量なじませます。
③ 十分温めたところに卵液を数回に分けて流し入れ、巻きながら焼きます。
④ 形を整え、切り分けて完成。
<コツ> 砂糖を使わず、甘みは本みりんで。魚醤の塩味があるので、塩も加えません。シンプルだからこそ、毎日食べても飽きない味になります。

もっとボリュームのある卵料理が食べたいときは、具沢山の玉子焼きもおすすめ。
魚醤を使った卵料理は、別の記事で5品まとめて紹介する予定です。
→魚醤で作る、おすすめの卵料理5選(近日公開予定)
④ 野菜のおひたし・煮浸し──醤油とは違う、奥深い味わい
白身魚の魚醤は、野菜料理でも大活躍。
醤油の代わりに使うと、塩味だけでなく旨味が加わって、奥深い味になります。
「醤油とは、ちょっと違う」
その違いが、やみつきになります。
おひたし──さっと和えるだけ
小松菜やもやしを、さっと塩ゆでにして、白身魚の魚醤で味を調えるだけ。
材料(2人分)
✔ 小松菜やもやし……1袋
✔ 白身魚の魚醤……大さじ1
✔ 本みりん……大さじ1
✔ お好みで:かつお節、白ごま
水200cc(分量外)に、魚醤と本みりんを40ccずつ加えて加熱し、みりんのアルコール分を飛ばします。
これ冷やしたものを「浸し地」と言い、料理屋さんでも使われています。
かために塩ゆでにした野菜を水にとり、しっかり水気を絞り、浸すだけ。
浸し地にあらかじめかつお節を加えたり、仕上げにのせたりすると、旨味が重なってさらに美味しくなります。
<アレンジ> ・ゴマ油と白ごまで、ナムルっぽく ・柑橘類の果汁を絞って、さっぱりと、
仕上げのちょっとした工夫で、味わいがガラリと変わります。
煮浸し──なすには、おろし生姜を
夏なら、なすの煮浸しがおすすめです。
材料
✔ なす
✔ 浸し地
✔ おろし生姜
こちらも先ほど作った浸し地が大活躍。
なすを油で炒め(または素揚げ)、熱いうちに浸し地に漬け込みます。
すぐに食べるより、少し時間をおいてからの方が、味が馴染んで美味しいです。
仕上げに、おろし生姜を加えると、ぐっと味が調います。
夏の作り置きにもぴったりです。
<アレンジ> ナスの他にも、ピーマン、甘長とうがらし、ズッキーニ、オクラ、カボチャなど、夏の畑には揚げ浸し向きの野菜がたくさん採れます。カラフルで見た目も抜群。夏休みのお昼ごはん問題を解決してくれる、頼もしい一品です。
⑤ タラの真薯と、万能あんかけ──手が込んで見えて、実は簡単
最後は、少し特別な一品。
といっても、本格的な海老真薯(えびしんじょ)のような凝ったものではありません。
冬に、生のマダラが手に入ったときに作る、わが家の手軽な真薯です。
新鮮なマダラだからこそ出せる、あのぷりぷりっとした質感。
これは、鮮度のいい素材ならではの贅沢です。
そして今回の主役は、真薯にかける万能あん。
このあんに、だしの素の代わりに白身魚の魚醤を使います。
手が込んで見えるのに、時間はかからず、味は抜群。
それが、このレシピのいちばんの魅力です。
真薯の作り方(目安)
✔ 生のマダラの身……200g
✔ 山芋……すりおろし大さじ2〜3
✔ 卵の白身……1個分
✔ 片栗粉……大さじ1
✔ 白身魚の魚醤……小さじ1〜2
✔ おろし生姜のしぼり汁……小さじ1(欠かせません!)
マダラの身をすり身にして、山芋・片栗粉・魚醤・生姜のしぼり汁を加えて練ります。
塩の代わりに魚醤で味を調えるのがポイント。
真薯は揚げても蒸しても茹でてもいいのですが、わが家では蒸して特製あんをかけて食べています。
万能あんの作り方──これが本題です
このあん、本当に万能なんです。
材料(作りやすい分量)
✔ 白身魚の魚醤……大さじ1
✔ 日本酒……大さじ1
✔ 本みりん……大さじ1
✔ 醤油……小さじ1
✔ 塩……味を調える分
✔ 片栗粉……適量(水溶き)
作り方
① 鍋に魚醤・日本酒・本みりん・醤油を入れて、ひと煮立ちさせます。
② 味見をして、塩で調えます。
③ 水溶き片栗粉を加えて、とろみをつけて完成。
このあんの、すごいところ
巷のレシピでは、真薯にはんぺんを入れたり、
あんにマヨネーズを加えてコクを出したりするものを見かけます。
でも、断言します。
旨味は、魚醤だけで十分です。
余計なものを足さなくても、魚醤の旨味がしっかり味を決めてくれる。
しかもこのあん、真薯以外にも大活躍。
✔ サクッと揚げたカレイの唐揚げにかけて
✔ 揚げだし豆腐にかけて
白髪ねぎをたっぷりかけたら、もうそれだけでご馳走です。
一度作ると、「だしの素って、もう要らないかも」と思うはずです。
まとめ──白身魚と青魚、使い分けのポイント
白身魚の魚醤の魅力、まだまだ伝えきれていない気がしますが、今回はこの辺で。
最後に、白身魚と青魚の魚醤の使い分けをお伝えします。
ポイントは、合わせる素材の味わいです。
✔ 卵のような、シンプルで優しい味わいの素材 → 白身魚の魚醤
繊細な素材の味を、そっと底上げしてくれます。
✔ 肉のような、インパクトのある味わいの素材 → 青身魚の魚醤
力強い素材に、負けない旨味で応えてくれます。
同じ椀物でも、すっきりしたお吸い物には白身魚。
雑煮や酒粕汁のように具沢山なら、青身魚。
素材と魚醤が、お互いにどう主張し合うのかが大事なのです。
次回、青身魚の魚醤を使ったおすすめレシピ5品もご紹介しますので、そちらもお楽しみに。
そして、最後にひとつ。
白身魚の魚醤を毎日使い始めると……
恐ろしいスピードで減っていきます。
優しくて、何にでも合って、つい手が伸びてしまうから。
だからこそ、おすすめしたいことがあります。
スーパーで、普段あまり手に取らない白身魚が、
新鮮な状態で並んでいたら──
ぜひ、魚醤用に買って、仕込んでみてください。
1年後、また「もったいなくて使えない」あの美しい一本が、
あなたの台所に増えているはずです。
→自家製魚醤、どの魚から始める?7魚種から選ぶこだわりの1本
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