和製ナンプラー/カタクチイワシの魚醤の作り方:和食に合う万能調味料

カタクチイワシの魚醤魚醤
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こんにちは。

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味噌と同じくらいわが家で活躍している魚醤

 

魚醤(ぎょしょう)とは、魚を塩漬けにして長期間発酵させる日本の伝統的な調味料です。

 

✔ ナンプラーを使いこなせなかった私が、どうして魚醤を作ることになったのか
✔ 魚醤は毎日使える「最高に優秀なだし」だと思う理由
✔ だれでも作ることができる!「自家製魚醤の完全マニュアル」

について、まとめた記事です。

 

魚醤の全体像を掴むのに役立ちます。

 

魚醤作りにチャレンジしようと思うのですが、

どの魚がおすすめですか?

 

色んな魚で作ることができる魚醤。

今回は、はじめて魚醤作りにチャレンジする方の質問にお答えします。

 

この記事では、

✔ はじめての魚醤作りにおすすめの魚とは
✔ 和食も使いたくなる!出汁としての活用法
✔ 和製ナンプラー「カタクチイワシの魚醤」の作り方

について、まとめました。

 

はじめての魚醤作りにおすすめの魚とは

一口に魚醤と言っても、海の魚だけでなく、

川魚をはじめとした淡水魚や、イカや海老(エビ)など、

色々な魚介類で作ることができることは、先程の記事で説明しました。

 

具体的に、はじめて魚醤を作ろうとしている方におすすめの魚と言えば、

やはり「カタクチイワシ」です。

片口鰯

 

イワシは、ニシン科のマイワシウルメイワシ

カタクチイワシ科のカタクチイワシの、主に3種類あります。

 

カタクチイワシは、地域によって「セグロイワシ」と呼ばれ、

そのほとんどが煮干し(いりこ)に加工されます。

カタクチイワシの煮干し

 

カタクチイワシは、1年を通して水揚げされていますが、

わが家が購入している千葉・九十九里の直売所では、10月から2月頃まで旬の時期とされています。

九十九里地域の郷土料理でもある「いわしのごま漬け」も、

この寒い時期に採れたカタクチイワシを使って作られます。

 

魚醤もまた、この時期に仕込むのがおすすめです。

 

3種類あるイワシで、なぜカタクチイワシなのか、

その理由を説明します。

 

まずは、マイワシについて。

マイワシは「入梅いわし」と呼ばれる梅雨の時期が、脂がのっていて美味しいとされています。

 

旬で脂がのっている魚で魚醤を作ると、

液体の表面に脂が浮いてきて膜のようになります。

 

この脂は発酵するにつれて酸化するので、魚醤の味も風味も悪くしてしまいます。

脂が多い魚によくある「脂やけ」と呼ばれる現象です。

 

また、脂の部分だけを取り除くこともできるのですが、

漉す時もペーパーフィルターが詰まってしまい、

漉しにくいという難点があります。

 

香りが穏やかな魚醤が好きなこともあり、

臭みがどうしても目立ってしまうマイワシの魚醤は、わが家ではほとんど作りません。

 

ウルメイワシについては、理由が異なります。

ウルメイワシは、直売所でも手に入りにくく、

若干値も張ります。

 

混ぜ物を一切しないわが家の魚醤は、

塩によって魚から出た水分がそのまま魚醤の量となります。

 

そのため、沢山作りたい時は、

ある程度量が必要となります。

 

以前少量でウルメイワシの魚醤を作りましたが、白身魚のような上品な味わいになりました。

これまで作った魚醤の中でも、5本の指に入る味わいです。

ウルメイワシを大量に安く手に入る方は、是非作っていただきたい魚醤のひとつです。

 

和食にも使いたくなる!出汁としての活用法

日本だけではなく、魚醤は世界中で作られています。

その中でも、タイのナンプラーは、

スーパーなどでも購入することができる、最もポピュラーな魚醤のひとつです。

実はナンプラーもカタクチイワシを使って作られています。

 

ナンプラーは、トムヤムクンやガパオライスなど、

タイ料理には欠かすことのできない調味料です。

ガパオライス

 

また、イタリア・シチリア島のコラトゥーラという魚醤もまた、

カタクチイワシを原料に作られています。

トマトソースともよく合うのは、納得です。

トマトソースのパスタ

 

その他にも、パクチーなどのさらにクセのある香味野菜ともよく合います。

パクチーサラダ

 

レモンを丸ごと1個搾って作るパクチーサラダは、にんにくで香りを付けたオイルと魚醤の塩味で、

山盛りのパクチーがあっという間になくなってしまう美味しさです。

 

アジア料理には、多めに加えて主張を強めにしたり、

イタリア料理には、ソースにコクを加えたい時の隠し味にしたり、

使い方次第でいろいろな活用ができるカタクチイワシの魚醤ですが、

実は和食にも合わせることができるんです。

 

そばの漬け汁や、

すんきそば

すんきそば

 

煮物、

煮物

 

炊き込みご飯や、

炊き込みご飯

 

魚介のチャーハンなど、

魚醤で味をつけたチャーハン

 

魚醤を使わない日はありません。

 

味を確かめながら、少しずつ、少しずつ足すようにします。

思ったよりも存在感のある味なので、香りをつけるくらいのつもりで使うのがおすすめです。

 

こちらの記事で、使い方をまとめています。

 

ただ、ナンプラーのように香りの強い魚醤を和食に使う訳ではありません。

繊細な味わいが求められる和食には、香りの穏やかな魚醤がおすすめです。

 

次の章では、和食に特化した魚醤の作り方をご説明します。

 

和製ナンプラー「カタクチイワシの魚醤」の作り方

こだわりの材料選び

魚醤の材料は、新鮮な魚と塩だけです。

 

カタクチイワシについて

イワシは、魚に弱いと書くように、

鮮度が落ちやすいのが特徴です。

なるべく、その日に水揚げされた新鮮なものを購入するようにしましょう。

鮮度を保つために、氷の中に詰めて持ち帰ります。

氷と魚

 

氷を入れるのは、鮮度を保つためですが、

もうひとつ重要な役割があります。

 

それが「血抜き」です。

 

クーラーボックスの中で保管していると、徐々に氷が溶け、

血が水に溶けだして外に出ます。

 

このひと手間で、できあがりの風味が違ってきます。

 

塩について

次に、保存性を高めるために重要な役割を果たす塩ですが、

精製された塩ではなく、ミネラルが豊富に含まれる粗塩を選んでいます。

塩

 

平釜でじっくり炊き上げられた昔ながらの塩は、

素材との馴染みがよいと言われています。

 

カタクチイワシの魚醤の材料
カタクチイワシ・・・できるだけ1㎏以上
塩・・・魚の重量の3割 
 

まとめて沢山作りたい!カタクチイワシを丸ごと使った魚醤の作り方

それでは、早速カタクチイワシの魚醤の作り方をご説明します。

 

魚醤は、大きく「仕込み」「濾過(ろか)」の2つの工程に分けられます。

 

仕込みの工程

まずは仕込みの工程です。

 

①血抜きが済んだカタクチイワシをさっと水で洗い流し、水気を切ります。

 

②広口の瓶に塩と一緒に詰めていきます。

魚と塩

 

できるだけ早く魚から水分を出すため、まんべんなく塩が行き渡るようにすることが大切です。

手で混ぜ合わせる必要はありませんが、

魚→塩→魚→塩→魚…

となるように、交互に詰めていきます。

仕込んだばかりの魚醤

 

③最後に、蓋用の塩をのせます。

塩で蓋をする

 

1日経つと、塩が半分程溶け、

魚から水分が出てきます。

1日経った魚醤

 

④魚全体が水につかるように、重石をします。

重石をする

 

魚が腐敗しないように、魚が塩水につかっている状態にしなければなりません。

水を入れたペットボトルや瓶を用意し、重石にします。

 

虫の心配な季節ではありませんが、ほこりなどが入らないように、

念のため全体をラップで覆います。

ラップで覆う

 

そのまま1ヶ月待ちます。

 

1ヶ月後の様子

1ヶ月経つと、塩もだいぶ溶け、

液体の色も徐々に茶色っぽくなってきます。

 

たくさん入れた塩はどうなったかと言うと、

完全には溶け切らず、瓶の底に少量残っている状態です。

仕込んで1ヶ月後の魚醤

 

塩が溶け切っていないというのも、重要なポイントです。

 

味噌の「天地返し」のように、ムラなく発酵させるために全体を混ぜるのも、

この時期がおすすめです。

木べらで混ぜる

 

混ぜると言っても、残っている塩の部分を中心に、

木べらで軽く混ぜる程度で十分です。

混ぜ合わせた後の魚醤

 

既に塩が完全に溶けてしまっているようでしたら、

上からパラパラとかけるように、5%程塩を追加します。

 

魚全体が水につかるようになったら、重石は外しても構いません。

 

慣れてくると、混ぜた方がいいか、

瓶を軽く振るだけでもいいか、何となく分かるようになりますが、

はじめのうちはやっていて間違いはありません。

 

濾過の工程

次に「濾過」、つまり漉す工程です。

 

必ず2回行います。

 

①目の細かいザルを使って、大きい骨などを取り除きます。

ザルで漉す

 

魚に含まれる水分を余すことなく出すため、上に少し重めの瓶などを置き、

1~2日様子をみます。

 

そうしてできたのが、こちらです。

1回目漉し終わった魚醤

 

このままでも使えない訳でなありませんが、やはり見た目がよくありません。

どのくらい透き通った魚醤を求めるか、こだわりのポイントではありますが、

最低2回は漉すようにします。

 

②さらにコーヒー用のペーパーフィルターを使って、細かいウロコなどを取り除きます。

ペーパーフィルターで漉す魚醤

 

ペーパーフィルターは詰まりやすいので、落ちが悪くなったら交換します。

今回も3回交換しました。

 

2回漉すと、琥珀色のきれいな魚醤ができあがります。

2回漉した魚醤

 

加熱処理する場合もあるようですが、わが家では加熱はせず、

酵素が活きている状態で使っています。

 

熟成期間はお好みで

魚醤の味や香りは、魚の種類はもちろん、

熟成期間によっても大きく変わります。

 

市販の魚醤は、1年以上熟成させたものが多く、

中には3年間長期熟成させたものもあります。

 

商品化までに数年かかるのであれば、小瓶で数千円というのも頷けます。

 

発酵が進むと、塩味は若干マイルドになりますが、

一方で香りが徐々に強くなります。

特に1年以上熟成させたものは、強烈な香りになります。

 

ちなみに、レシピで写真付きで紹介したのは「3か月熟成」の魚醤です。

その比較的若い魚醤も、半年後には色が濃くなります。

色が濃くなってきたカタクチイワシの魚醤

 

和食には、比較的発酵期間の短い魚醤がおすすめです。

特に、私のように長期熟成させたクセの強い魚醤が苦手な方や、

はじめて魚醤作りにチャレンジされる方には、若い魚醤の方が使いやすいかと。

 

それに、そういった短期間熟成の魚醤って、

あまり売っていないんです…

 

売っていないなら、作るしかありませんね。

 

さらに和食に特化した魚醤を作りたい方へ

本格的なアジア料理やエスニック料理、パスタなどのイタリア料理など、

家で作る機会があまりない和食派の方には、

オールマイティーに活躍するカタクチイワシの魚醤より、

香りの穏やかな白身魚の魚醤がおすすめです。

 

この白身魚こそが、クセの少ない上品な味わいの魚醤を作る最大のコツです。

 

 

3か月で漉す目的は「自家製アンチョビ」を作るため

3か月で漉すのには、もう一つ目的があります。

それが、アンチョビです。

 

1年以上長期熟成させたものは、魚もドロドロに溶けてしまいますが、

3か月のものは、形がそのまま残っています。

 

いわば、「カタクチイワシの塩漬け」の状態です。

カタクチイワシの塩漬けは、アンチョビの材料にもなります。

 

ワインに合うイメージのアンチョビは、ヨーロッパを中心に使われていますが、

パスタだけでなくドレッシングや炒め物などにも、

少し加えるだけで旨味が格段にアップする、常備しておきたい食材です。

 

長くなってしまうので、作り方はまた別の記事でご紹介します。

 

保存について

魚醤は、直射日光の当たらない冷暗所で保存します。

1年以上長期熟成させる場合も、同じく常温で保存します。

 

漉した後加熱をしないと、発酵も進みます。

発酵をゆるやかにしたい場合は、冷蔵庫での保存がおすすめです。

 

漉した後、加熱する場合の注意点

発酵がそれ以上進まないように、加熱する場合があります。

 

やり方としては、ザルで漉した後に鍋に入れて火にかけ、

沸騰したら弱火にして5分程煮立たせます。

 

その後、さらしやペーパーフィルターを使って漉します。

 

火入れすることで発酵は止まりますので、

特に長期熟成させた魚醤の場合は、覚えておくと便利です。

 

容器について

わが家では、主にガラス瓶や陶器(つぼ)を使います。

においがつくので、プラスチックの容器はあまりおすすめできません。

 

広口のものの方が中のものが取り出しやすく、短期熟成でアンチョビを作りたい時は、

果実酒用のビンを使っています。

 

陶器は、中の様子が見えにくいという難点はありますが、

外からの影響を受けにくいので、長期保存には向いています。

 

わが家ではチャレンジしたことがありませんが、イタリアのコラトゥーラは、

木樽を使って作られています。

風味が加わって、さらに美味しい魚醤ができるかもしれません。

 

まとめ

この記事では、はじめて魚醤作りにチャレンジする方に向けて、

おすすめのカタクチイワシの魚醤の作り方をお伝えしました。

 

カタクチイワシの魚醤のメリットは、

✔ 豊かな香りと上品な旨味が加わり普段の料理がグレードアップ
✔ 3か月で漉すと、自家製アンチョビもできる
✔ めんつゆなどの旨味調味料がいらない
✔ 小麦・大豆アレルギーでも、醤油の代用品として使うことができる

 

熟成期間によって味わいが変わり、和食にもアジア料理にもイタリアンにも合う、

手放せない万能調味料になること間違いなしです。

 

市販されている魚醤の紹介

「魚醤って、何を選んでいいのか分からない…」と悩んでいる方へ。

 

まずは、定番のカタクチイワシと、

上品な香りの白身魚の魚醤を1本ずつ揃えてみるのはいかがでしょう?

 

アジア料理やイタリアンの隠し味には、カタクチイワシの魚醤を、

白だしや薄口しょうゆの代わりに和食に使うのは、白身魚の魚醤を、

料理に合わせて使い分けるのも面白いかと。

 

はじめての方は、Delfino社(デルフィーノ)のコラトゥーラがいいかもしれません。

✔ 材料がカタクチイワシと塩だけ
✔ 頭と内臓を取り除き熟成させる
✔ 熟成期間が5か月とあまり長くない

香りも穏やかで、料理に合わせやすい魚醤です。

Amazon楽天市場でも購入することができます。

 


 

もう少し魚醤について知りたい方へ、

メニューの「自家製調味料」の中に、「魚醤」の記事をまとめています。

わが家で作っている魚醤の一部を紹介していますので、よろしければご覧ください。

魚醤の記事一覧はこちら

 

この記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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