コーレーグースの作り方|島唐辛子と泡盛で作る沖縄の万能調味料

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沖縄料理のお店のテーブルに、ちょこんと置かれた小さな瓶。

赤い唐辛子が沈んだ、琥珀色の液体——それが「コーレーグース」です。

沖縄の島唐辛子を、泡盛に漬け込んだ、沖縄生まれの辛味調味料。

ゴーヤーチャンプルーに数滴たらすと、味がキリッと引き締まって、旨味と辛味が際立ちます。

わが家ではこのコーレーグースを、畑で採れた島唐辛子を使って、毎年仕込んでいます。

以前ご紹介した、唐辛子の酢漬け、そして魚醤漬け。

それに続く、「畑の唐辛子を、お酒に漬ける」という三つめの保存食が、このコーレーグースなんです。

作り方はとてもシンプルで、しかも驚くほど日持ちします。

今日は、そんなコーレーグースのお話です。

この記事でわかること

✔ コーレーグースって、どんな調味料?(名前の由来も)
✔ 島唐辛子と泡盛で作る、かんたんな作り方
✔ 畑の唐辛子、どれが向いている?(意外な不向きもあります)
✔ 使い方と、お酒に漬けるときの豆知識

この記事は、一般的な情報と、わが家の体験をまとめたものです。 アルコールを使うため、お子さんや運転前などにはご注意ください。


コーレーグースって、どんな調味料?

コーレーグース(コーレーグスとも)は、沖縄で古くから親しまれてきた辛味調味料です。

沖縄産の小さな「島唐辛子」を、沖縄の蒸留酒「泡盛」に漬け込んだもの。

たったこれだけの、とてもシンプルな調味料です。

でも、そのシンプルさが、奥深い。

泡盛のアルコールが、島唐辛子の辛味と香りをじっくり引き出して、

キレのある辛さと、泡盛由来の華やかな香りが生まれます。

酢漬けの「酸味」でも、魚醤漬けの「旨味」でもない、お酒ならではの香りと、鋭い辛味

同じ唐辛子でも、漬けるものが変わると、こんなにも表情が変わるのかと驚きます。

「コーレーグース」という名前の由来

ちょっと変わったこの名前、由来には諸説あります。

有力なのは、「高麗胡椒(こうらいこしょう)」が沖縄の言葉で訛った、という説。

唐辛子は、その昔、薩摩(今の鹿児島)を経由して沖縄に伝わったとされ、

九州の一部では、今でも唐辛子を「高麗胡椒」と呼ぶ地域があります。

「コーライコショー」が、沖縄の発音で「コーレーグース」になった、というわけです。

ほかにも諸説ありますが、いずれも歴史のロマンを感じさせる、面白い名前ですね。

島唐辛子は、実はタバスコと同じ仲間

コーレーグースに使う「島唐辛子」。

小さいけれど、とても辛いのが特徴で、その辛さは鷹の爪をしのぐほどです。

面白いことに、この島唐辛子は、あの世界中で愛されている辛味調味料『タバスコ』の原料と、同じ品種の仲間(キダチトウガラシ)。

一方、日本で一般的な鷹の爪は、別の品種です。

小さな体に強烈な辛さを秘めた島唐辛子だからこそ、コーレーグースのあの鋭い辛味が生まれるんですね。

島唐辛子が手に入らないときは、「見た目」で選ぶ

島唐辛子は、なかなかお店で見かけないかもしれません。

しかも、唐辛子は品種名まで書いて売られていることが少ないので、

スーパーや八百屋さんで「島唐辛子をください」と言っても、実際に手に入ることはほとんどありません。

そこでおすすめなのが、「見た目」で選ぶという方法。

島唐辛子は、小さくて、細長いのが特徴です。

お店で唐辛子を選ぶときは、この「小さくて細い」を目安にしてみてください。

一般的な鷹の爪より、ひとまわり小さく、華奢な印象のものが、島唐辛子に近い唐辛子です。

もし手に入らなければ、いちばん身近な鷹の爪(赤唐辛子)でも、じゅうぶんおいしく作れます。

辛さは少し穏やかになりますが、コーレーグースらしい味わいは、ちゃんと楽しめますよ。

(ちなみに、わが家の畑では、島唐辛子と同じ仲間のタイの唐辛子「プリッキーヌ」を育てているので、

たくさん収穫できたときは、こちらで作ることもあります)


コーレーグースの作り方

作り方は、拍子抜けするほど簡単です。島唐辛子を、泡盛に漬けるだけ

材料

島唐辛子(なければ、小さくて細い唐辛子や鷹の爪でも/くわしくは上記) ── 瓶の3分の1〜半分くらい
泡盛(なければ米焼酎でも/くわしくは下記) ── 瓶がいっぱいになるくらい
✔ 塩 ── ひとつまみ(お好みで)

泡盛は、アルコール度数30度以上のものがおすすめです(理由はあとで)。

泡盛を数年寝かせたものは、「古酒(クース)」と呼ばれ、まろやかで香り高いお酒になります。

古酒は少しお値段が張るので、コーレーグースに使うのはもったいないかもしれません。

でも、もし手元にあれば、古酒で漬けてみるのもひとつの選択。いっそう深みのある味わいになりますよ。

まずは普段の泡盛で作ってみて、慣れてきたら古酒にも挑戦してみる、というのもいいですね。

泡盛が手に入らないときは、焼酎で

「泡盛って、家にないな……」という方も多いですよね。そんなときは、焼酎でも作れます。

ここで、お酒の度数を少し整理しておきましょう。料理にあまりお酒を使わない方の、参考になれば。

日本酒 ── 15〜17度。実は度数が足りないので、コーレーグースには不向きです ✔ 焼酎 ── 20〜25度。これなら作れます ✔ 泡盛 ── 30度前後。いちばん向いています

泡盛と焼酎、香りと味わいの違い

度数だけでなく、実は香りや味わいにも、はっきりした違いがあります。

お酒好きの方には、こちらのほうが気になるところかもしれませんね。

泡盛は、タイ米(インディカ米)と、黒麹菌を使って造られるお酒。

しかも、原料をすべて一度に麹にして仕込む「全麹仕込み」という、独特の造り方をします。

この黒麹菌とタイ米の組み合わせから、バニラのような甘い香りが生まれるといわれていて、

濃厚で芳醇、コクのある味わいになるのが、泡盛の個性です。

一方、焼酎は、原料によって個性がさまざま。

米焼酎はまろやかでほんのり甘く、麦焼酎はマイルドですっきり、芋焼酎はふかし芋のような甘い香り。

そして、多くは白麹菌を使い、泡盛よりすっきりと飲みやすい味わいに仕上がります。

つまり、泡盛=芳醇で甘い香り、コクが深い/焼酎=原料ごとの個性があり、より軽やか

この違いは、そのままコーレーグースの香りにも表れます。

泡盛で作れば、南国らしい甘く濃厚な香りのコーレーグースに。

焼酎(米焼酎)で作れば、よりすっきりと軽やかな仕上がりに。

お酒に慣れている方なら、「今日は泡盛のあの香りを活かしたいから泡盛で」「さっぱりさせたいから米焼酎で」と、

好みで選んでみるのも、楽しいと思います。

焼酎で作るなら、米焼酎がおすすめです。

というのも、泡盛はもともとお米から作られるお酒。だから、同じお米の米焼酎が、いちばん風味が近いんです。

麦焼酎や芋焼酎は、麦や芋の香りが強く出るので、唐辛子の風味を活かしたいなら、クセの少ない米焼酎を。

もちろん、泡盛が手に入るなら、泡盛がいちばんですよ。

作り方

① 瓶を、煮沸消毒しておく

保存する瓶は、煮沸するか熱湯を回しかけて消毒し、しっかり乾かします。

長く保存するために、いちばん大切な工程です。ていねいに。

② 島唐辛子を、洗って乾かす

島唐辛子を水で洗い、水気をよく拭き取ります。水分が残るとカビの原因になるので、しっかりと。

③ 瓶に入れて、泡盛を注ぐ

瓶の3分の1〜半分ほど島唐辛子を入れ、お好みで塩をひとつまみ。

そこに、泡盛を瓶いっぱいまで注ぎます。

④ 冷暗所で、2週間〜1ヶ月おく

ふたをして、直射日光の当たらない冷暗所へ。

最初は透明だった泡盛が、だんだん淡い琥珀色に染まってきたら、完成の合図です。

日を追うごとに色づいていく様子を眺めるのも、手作りならではの楽しみですよ。

辛味が抜けたら、継ぎ足して長く楽しむ

コーレーグースは、驚くほど長持ちします。高い度数のお酒で漬けているからです。

わが家では、1〜2年ものを、普通に使っています。

おそらく、もっと長く置いても大丈夫だとは思いますが、そこは無理をせず、様子を見ながら。

濁りが出たり、いつもと違うにおいがしたりしたら、そのときは処分してくださいね。

使って泡盛が減ってきたら、上から泡盛を継ぎ足せば、また辛味が溶け出して、長く楽しめます。

沖縄の家庭でも、こうして「わが家のコーレーグース」を育てていくんだそうです。

唐辛子の色が抜けて辛味が弱まってきたら、新しい島唐辛子に入れ替えるのもおすすめです。


お酒に漬けるときの、法律のはなし

「お酒に唐辛子を漬けるのって、法律的に大丈夫?」と気になる方もいるかもしれません。

でも、コーレーグースづくりは、問題ありません。

ポイントは2つ。アルコール度数20度以上のお酒を使うことと、自分で飲む(自家消費する)こと

泡盛は度数が高い(30度以上が多い)ので、この条件を満たしています。

(お米やぶどう〈レーズン含む〉をお酒に漬けるのはNGですが、唐辛子は問題ありません。

梅酒でレーズンを使えないのは、このためなんです)

泡盛の度数が高いほうがいいのには、ちゃんと理由があります。

度数が高いほど、唐辛子の辛味と香りがよく抽出され、保存性も高まるんです。

だから、30度以上の泡盛がおすすめ、というわけですね。


畑の唐辛子、どれでも作れる? ── 向き・不向き

わが家の畑では、島唐辛子やプリッキーヌのほかにも、いろいろな唐辛子を育てています。

日光唐辛子、神楽南蛮、万願寺唐辛子、バナナ甘長、それから四川料理に使う朝天唐辛子まで。

でも、これらすべてが、コーレーグースに向いているわけではないんです。

向いているもの

辛くて、赤く完熟する、小さめの唐辛子が向いています。

島唐辛子、プリッキーヌ、日光唐辛子など。しっかりした辛味が、お酒によく抽出されます。

向かないもの ── 理由もいろいろ

辛すぎるものは、実は不向きです。

たとえば、四川料理に使う朝天唐辛子。麻辣の主役になるほど辛いのですが、

コーレーグースにすると、刺激が強すぎて、扱いにくくなってしまいます。

そしてもうひとつ、意外な理由で不向きなのが、万願寺唐辛子や、バナナ甘長

これらは、赤く完熟すると、辛くなるのではなく、甘くなる品種なんです。

コーレーグースに必要なのは、辛味。甘くなる唐辛子では、あの鋭い辛さが出ません。

同じ「赤い唐辛子」でも、辛くなるものと、甘くなるものがある。

畑で育てていると、こういう違いがよくわかって、なかなか面白いものです。

ちなみにピーマンのように肉厚なかぐら南蛮も、かぐら南蛮味噌を作りたくて毎年育てているのですが、

辛さはほどよくあるものの、水分を多く含むため、液体に漬けると味の輪郭がぼやけてしまいます。

辛くなってしまったししとうの、レスキューにも

ちなみに、シーズン中次々と実を付けてくれる夏野菜の代表ししとうは、比較的長く収穫できるのですが——

面白いことに、秋になってくると、同じ株のししとうでも、だんだん辛いものが混じるようになるんです。緑色でも、油断できません。

そんなときは、その辛くなったししとうを、完熟して赤くなるまで待って、コーレーグースにするのもおすすめです。

「思いがけず辛くなってしまった唐辛子」を、おいしく活かせる、ちょっとしたレスキュー方法なんです。

(ちなみに、赤く完熟したししとうは、乾燥させてパウダー状にして、「スイートチリペッパー」として、料理の彩りをよくするのに使うのもおすすめです)


コーレーグースの使い方

本場では、沖縄そばに数滴たらすのが定番ですが、

沖縄そばを自宅で作ることは、あまりないですよね。

そこでおすすめしたいのが、ゴーヤーチャンプルー

ご家庭でも作りやすい、いちばん身近な沖縄料理ではないでしょうか。

ぜひ、チャンプルーに使ってみてください。 仕上げに数滴たらすと、

油っぽさが抑えられ、辛味のアクセントが加わって、ぐっと本格的な味になります。

もちろん、チャンプルー以外にも、いろいろな料理に使えます。

ラーメン、うどん、みそ汁 ── 一味唐辛子のような感覚で
刺身のつけ醤油に ── わさびの代わりに、ちょっと垂らして
餃子のタレ ── ラー油のかわりに
ピザ、パスタ ── 市販の辛味ソースのように。トマトソースに入れても

基本は、一味唐辛子や、市販の辛味ソースと同じ感覚で使えます。

使うときの注意

ひとつだけ、大事な注意を。

コーレーグースは、とても辛く、泡盛のアルコールの刺激も強い調味料です。

しかも液体なので、入れすぎると、あとから取り除くことができません。

「少し物足りないかな」というくらいから、数滴ずつ足していくのがコツです。

そして、アルコールを含みます。 お子さんが食べる料理には使わず、大人の楽しみとしてください。

お酒に弱い方、妊娠中の方、運転前も、お控えくださいね。

(加熱する料理に使うと、アルコールが飛んで、香りと辛味だけが残ります)


液体に漬けて、3つの個性が生まれた

これで、唐辛子を「液体に漬ける」保存食が、3つそろいました。

酢に漬ける ── さっぱりした酸味の「唐辛子の酢漬け(プリックナムソム)」
魚醤に漬ける ── 深い旨味の「唐辛子ナンプラー(プリックナンプラー)」
お酒に漬ける ── 華やかな香りと鋭い辛味の「コーレーグース」

畑の唐辛子から(酢漬け・魚醤漬けはプリッキーヌ、コーレーグースは島唐辛子と、使う品種はそれぞれ違いますが)、

漬け込む液体を変えるだけで、酸味、旨味、香り——まったく違う3つの個性が生まれる。

タイの卓上調味料にヒントをもらい、沖縄の知恵にたどり着く。

保存食の世界は、本当に奥深くて、面白いものです。

唐辛子の酢漬けの作り方|タイの万能調味料プリックナムソム

完熟唐辛子のナンプラー漬け「プリックナンプラー」の作り方

でも、唐辛子の保存食は、これで終わりではありません。

塩に漬けて発酵させれば、かんずり風や豆板醤に。乾燥させれば、七味づくりにも。

液体、塩蔵、乾燥——唐辛子の保存食づくりは、まだまだ楽しめそうです。

旬のそら豆を使った本格自家製豆板醤(粉唐辛子使用)

黄ゆずを使ったかんずり風発酵薬味の作り方(粉唐辛子使用)

畑で真っ赤に実った唐辛子を、一年かけて、いろいろな形で味わう。

その楽しみが、わが家の食卓を、ちょっと豊かにしてくれています。


まとめ

コーレーグースは、島唐辛子を泡盛に漬けるだけの、シンプルで奥深い沖縄の調味料です。

最後に、ポイントを3つだけ。

✔ 島唐辛子を泡盛(30度以上)に漬け、2〜3週間で琥珀色になれば完成

✔ 度数が高いほど、よく抽出でき、長持ちする。継ぎ足して長く楽しめる

✔ 辛くなりすぎた唐辛子や、赤く完熟する辛い品種が向いている(万願寺のように甘くなる品種は不向き)

✔ とても辛く、アルコールを含むので、数滴ずつ・使う相手に注意して

畑の唐辛子と、南国生まれの泡盛。

その出会いが生む、鋭くも華やかな一滴を、ぜひ味わってみてください。

参考にした情報源

コーレーグースや島唐辛子、酒税法に関する一般的な情報を参考にまとめました。 呼び名や由来、作り方は、地域や家庭によってさまざまです。

・コーレーグースに関する一般的な情報(泡盛メーカー、沖縄の情報サイト、Wikipediaなど)
・自家製のお酒への漬け込みに関する情報(国税庁「酒税法」の一般的な解説)

※アルコールを含みます。お酒に弱い方・妊娠中の方・運転前、お子さんはご注意ください。 ※唐辛子は刺激が強い食材です。扱いや保存には十分ご注意ください。

珍しい唐辛子は、生産者から直接

この記事でお話ししたように、島唐辛子のような珍しい品種は、お店ではなかなか見つかりません。

見かけても、品種名までは書かれていないことがほとんどです。

そんな「この品種を、探している」というときにおすすめなのが、生産者から直接届く産直サービス。

島唐辛子はもちろん、地域ならではの唐辛子を扱う生産者さんに、直接出会えることがあります。

畑を持たない方でも、こうした産直サービスを覗いてみると、

珍しい唐辛子との、思いがけない出会いがあるかもしれません。

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