こだわりの発酵器『麹蓋(麹箱)の作り方』材料はホームセンターの天然木

本ページはプロモーションが含まれています。

はじめに

発酵食づくりをはじめてから、麹はずっと麹屋さんにお世話になってきましたが、3年ほど前から自分たちでも醸し始めました。

麹屋さんにならって木箱を使って醸してみようとなったのはいいのですが、肝心の木箱がありません。

ちなみに、麹を醸す木箱を、発酵の業界用語では麹蓋(こうじぶた)と呼びます。

麹屋さんでは、麹室(こうじむろ)という麹を醸す専用の空間(蔵や部屋)で、麹蓋をいくつも重ねて麹を醸しています。

わが家では子供たちもイメージしやすいように「麹箱」と呼んでいます。

 

さてその麹箱、築200年超えの主人の実家を探したところ、それっぽいものはいくつか見つかったものの、虫食いが激しくて実際に使えそうなものはありませんでした。

これは買うしかないなと調べたところ、7,000円〜20,000円とものすごく高価な代物だということがわかりました。

ただのって言っては失礼ですが、シンプルな木の箱なんです。

もちろん職人さんが丁寧に作った良い道具なのはわかるのですが、

「試しに麹を作ってみたい」という段階でこの出費は…と思わず躊躇しました。

 

即決する勇気がなく、主人に相談したところ、

「作ればいいよ。杉板3枚あれば作れるから。」

と、あっさり引き受けてくれました。

持つべきものはDIY好きの相方です。

しかもたった半日で2箱、ひと箱3,000円以下でできるというではないですか!

これはお願いしない手はありません。

 

麹箱があれば、いつでも気軽に麹を醸すことができます。

これでこの夏、甘酒もこうじ水も飲み放題です。

 

主人が麹箱を作る横で私がメモを取りながら書いた、製作レポートをお届けします。

 

この記事でわかること

✔ 麹箱をホームセンターの材料だけで自作する方法
✔ なぜ「杉」で「ボンドなし」で作るのか
✔ 買い物リストから完成まで、具体的な手順

 

麹箱をホームセンターの材料だけで自作する方法

麹は食品です。

その麹を醸す道具である麹箱は、ただの木箱に見えて、100円ショップに売っているような木箱ではありません。

それぞれの材料に、なぜその材料で作る必要があるのか明確な理由があります。

 

なぜ「杉」なのか

麹箱の素材には「杉」が一番おすすめです。

その理由は、調湿性と抗菌性が備わっているからです。

 

実際長年通っている千葉の麹屋さんも、地元の杉で作られたオーダーメイドの麹箱を使っていました。

「色々やってみたけど、ここの土地で育った米を、ここの土地で育った杉の箱で醸す、それが一番相性がよかったんだよ。」と、職人気質のご主人が教えてくれました。

 

麹づくりでは、箱の中が「高温」「高湿」になります。

杉は調湿性に優れているので、箱の中の湿度を自然にコントロールしてくれます。

さらに杉に含まれる天然の抗菌成分は、雑菌が繁殖しにくい環境を整えるのにも役立ちます。

 

杉より安い合板やMDF板も売ってはいますが、これは麹箱には不向きです。

その理由は、接着剤にホルムアルデヒドが使われていることがあるからです。

杉であっても、塗料やニスが塗ってあるものも使えません。

せっかくの調湿機能が働かず、高温により最悪の場合塗料が溶け出す可能性もあります。

 

ちなみに、伝統的な麹箱には、「柾目(まさめ)」という、木の年輪に対して垂直に切られた、木目が直線で美しく整った材が使われることが多いです。

デパ地下の洋菓子売り場できれいに並んでいる「バウムクーヘン」の切り口をイメージすると分かりやすいです。

柾目は反りが出にくく、調湿性能に優れているため、寿司桶などにも利用されています。

ただ柾目は、丸太から切り出せる量が少なく、普通の板目よりも入手しにくく値段も高くなります。

まずは普通の板で作ってみて、麹箱を使う習慣もできて、使っているうちに反りなど気になるところが出てきたら次は柾目を検討する、そのくらいでいいと思います。

 

いづれにしても、大事なのは発酵に向いている素材かどうかです。

 

なぜ「ボンドなし」なのか

たとえ「食品衛生法に適合」と書いてあっても、ボンドは使いません。

ビス(木工用ネジ)だけで留めます

 

主人曰く、

「ボンドを塗ると、その部分の調湿機能が働かなくなる。

せっかく杉を選んでも、接合面がボンドで覆われたら意味がない。

それに麹箱は高温高湿の環境で使うから、ボンドもすぐに剥がれてくる。

剥がれた隙間には水分も溜まりやすいし、雑菌だって繁殖する可能性がある。」

 

杉の調湿機能と抗菌力を最大限に活かすために、ボンドは使わない──

そういう設計のようです。

 

ちなみに伝統的な麹箱は、木組みと竹ひごと米糊だけで作られています。

さすが熟練の職人さんのなせる業です。

それを主人に求めると、おそらく麹箱の完成までに数年掛かってしまいます。

週末DIYレベルで作るには、確実に固定できるビスが一番です。

 

ステンレスビスを選ぶ理由

ホームセンターで扱っているビスは、鉄、メッキ(ユニクロ)、ステンレス、主にこの3種類です。(他に銅がある場合があります)

ビスはステンレスの一択です。

鉄だと錆びて木が黒くなってしまいますし、メッキだと使っている途中で、メッキが剥がれる可能性があります。

 

麹箱は使うたびに熱湯をかけて消毒するので、錆びない、溶け出さない素材であることが大事です。

 

ちなみにステンレス(SUS304)は食品加工設備にも使われている素材で、ホームセンターでも普通に手に入ります。

鉄素材のビスとの価格差は、1箱分(50本程度)でも数百円。

長く使える道具を作るという意味でも、ここはステンレスを選択することをおすすめします

 

材料と道具──スーパービバホームで全て揃います

木材

今回は、スーパービバホームの規格品を使いました。

 「2,000mm × 140mm × 厚さ10mm」 の杉板× 3枚

 

プレーナー(表面を削って平滑にする機械)で仕上げてある板なので、表面もきれいです。

これを、木材カットサービスで指定寸法に切ってもらいます。

 

完成サイズ

今回作る麹箱の完成サイズがこちらです。

600mm × 420mm × 深さ80mm(蓋付き・中型)

米2〜4㎏分の麹が仕込めるサイズです。

 

箱自体は軽くても、麹を入れると5キロ以上になります。

2箱同時に仕込むとなると、軽く10キロを超えます。

 

ちなみに、主人の実家で見つけた、かつて麹箱として活躍していたであろう木箱は、これよりもずっと大きく重かったです。

そうかと思うと、麹屋さんの麹室はわが家で作る麹箱よりも若干小さく、深さも2/3程と薄かったです。

箱の大きさに正解はありません。

上手く醸すことができれば、正直どんなサイズでもいいのだと思います。

 

ただわが家と同じように、

✔ 自家製調味料用の自家製麹を醸す
✔ 年に1、2度まとめて醸すより、定期的に醸す予定
✔ 都心のマンション暮らしなので、収納はできるだけコンパクトに

そんな方におすすめの、使い心地はもちろん、使っていない時の収納場所も考慮したサイズです。

 

カット図(木取り図)

3枚の板から、以下のパーツを切り出します。

お店に行く前に、この表をメモして持っていってください。

パーツ 寸法(mm) 枚数 元の板
底板 600 × 420 1枚 1枚目の板から(※)
長側板 600 × 80 2枚 2枚目の板から
短側板 400 × 80 2枚 2枚目の板の残りから
蓋板 610 × 430 1枚 3枚目の板から(※)

 

※底板と蓋板は板幅140mmでは足りないので、2〜3枚を並べてビスで背板(横桟)を渡して1枚板にします。

 

カット代は1カット50円なので、全部カットしてもらっても800円です。

重ねて切ってもらえる場合があるので、訊いてみるといいかもしれません。

 

わが家にジグソーはありますが、丸ノコはありません。

ジグソーは平らの刃を細かく動かしてカットしていくので、どうしても切り口が波打ってしまいます。

専用パーツを付けで壁に棚を作る時はそれでもいいのですが、今回の場合はカットした面を微調整していくうちに、最悪の場合箱の形にならない可能性がありますので、お店のカットサービスを利用することを強くおすすめします。

パワーのある丸ノコで一気にカットしてくれるホームセンターは、自分で切るより圧倒的に精度が高いです。

 

板厚10mmについて

主人が調べたところ、市販の麹箱の多くが、15〜20mmの厚みがあったそうです。

それは断熱性を高めるためです。

ただ10mmでも家庭用としては十分に機能します。

軽いから取り回しもききますし、天気によってはあちこち乾燥させる場所を探さなければいけないわが家としては、「カビない」が一番です。

 

断熱性が気になる冬場は、発泡スチロール箱の中に麹箱を入れて使うことで、その機能が補えます。

毛布やタオルを一枚敷いて湿度の調整をする必要はありますが、温度がうまく上がらない時などは、試してみるといいかもしれません。

 

その他の材料・道具

材料・道具 メモ
ステンレスコーススレッド(皿頭・30〜35mm) SUS304。ビバホームで購入
紙やすり 400番・800番 プレーナー仕上げ済み材の表面加工用
電動ドライバー 手回しだとかなり大変
クランプ(2〜3個) 木の反り補正に必須。
定規・鉛筆 印つけ用
直角定規(あれば) 直角の確認用

 

地味に大事なのは、クランプです。

板をしっかりとおさえる工具なのですが、薄い杉板(10mm)は反りが出やすいので、

ビスを打つときにクランプで押さえて反りを補正しながら、板同士を固定しなければいけません。

 

クランプなしでやろうとすると、どうしても隙間ができてしまいます。

 

主人も「クランプなしだったら、たぶん倍の時間が掛かると思うし、一人だとかなり難しいかな。」と言っていました。

 

製作手順

STEP1|木材の洗浄と仕上げ

プレーナー仕上げ済みの板なので、表面はすでにきれいです。

それでも麹箱は食品に触れる道具なので、使う前にしっかり洗浄します。

 

お湯で全面を洗い流します。(木くずやホコリの除去)

熱湯をかけて消毒します。

風通しの良い場所で完全に乾燥させます。

天候がよければ、2〜3日で乾きます。

※直射日光は板が反る原因になるので避けてください。

④ 乾いたら、紙やすり400番で全面を磨きます。

⑤ 続けて800番で仕上げ磨きをします。

 

もっと目の粗いやすりもありますが、ブレーナーですでに削ってある板の場合、むしろ削りすぎてしまう可能性があります。

購入する板によっても違いますので、表面を触ってみて、必要なようであれば調整してください。

紙やすりは番手(番号)が小さいほど粗く、削る力が強いです。

表面に手が引っ掛かるくらいのざらつきがある場合は、120番→240番と、粗めのやすりである程度削ってから「STEP1|木材の洗浄と仕上げ」の工程に進むのがいいでしょう。

 

表面を磨く目的は、「米が付きにくくするため」と「使用後の掃除を楽にするため」です。

白木のわっぱ弁当もそうですが、米のデンプン質が残っていると、だんだん黒く変色してきます。

デンプン質を残さないことが麹箱をきれいに保つためには一番大切なですので、表面は丁寧に磨きましょう。

 

STEP2|組み立て

いよいよ箱を組み立てます。

 

① 底板を作業台に置きます。

② 長側板を底板の長辺に立てます。

クランプで固定して、反りを補正します。

※手で押さえただけでは反りが戻ってしまいます。クランプでしっかり押さえてください。

下穴を開けてから、ステンレスビスで固定します。

※下穴を開けないと杉板が割れます。薄い板は特に注意。

⑤ 短側板も同様に、クランプで固定→下穴→ビス止めをします。

⑥ 四辺を留めたら、箱の完成です。

 

ここでDIY歴25年の主人のコツ

✔ 皿頭のビスを使って、頭が木材の面と同じ高さになるように打ち込む。

→ビスの頭が飛び出していると、米粒が引っかかったり、洗うときに手を怪我してしまう可能性がある。

 

STEP3|蓋を作る

蓋は、箱の外寸より5mm程度大きい板を乗せるだけのシンプルな構造です。

箱より少し大きめに作るのがポイントだそうです。

ピッタリサイズだと、木が湿気を吸って膨張したときに、はまらなくなる可能性があります。

 

もし取っ手が欲しい場合は、左右に小さな木片をビスで留めるだけでOKです。

わが家は取っ手なしで使っていますが、今のところ不便は感じていません。

 

STEP4|最終仕上げ

① 組み上がった箱を、もう一度お湯で洗います。

※特にビス周辺と接合部の内側を念入りに。

熱湯をかけて消毒します。

完全に乾燥させます

 

これで完成です。

 

完成当初は木の香りが強いです。

杉の香りは心地よいですが、麹菌に影響する可能性もあるので、

最初の1、2回は「試し仕込み」として割り切ってください。

使うほどに木が馴染んで、香りは徐々に落ち着いてきます。

 

底板の通気について

「湿気がこもらないように、底に穴を開けた方がいいの?」と聞いたら、

「穴はなくても大丈夫。箱をすのこの上に置けば通気は確保できる。」

 

実は麹づくり初心者だった頃、フローリングの床に直接置いて醸したところ、気づいたときには床がびちょびちょになったことがありました。

それ以来、わが家ではすのこの上で醸すことにしています。

毛布やタオルでもいいのですが、熱がこもって箱の中の温度が高くなりすぎてしまう可能性があります。

冬場以外はあまりおすすめしません。

こちらは直接食品に触れるわけではないので、市販のすのこで構いません。

 

お手入れと長持ちのコツ

使い終わったら

① 米粒と菌糸をタワシで丁寧にこすり取ります。

こちらは乾いた状態で行います。

② 熱湯を全体にまわしかけて消毒します。

風通しの良い場所で完全に乾かします。

④ 立てかけて保管します。

重ねると通気性が悪くなって、カビの原因になってしまいます。

 

洗剤は使わないでください。

杉材に洗剤成分が染み込んでしまいます。

お湯と熱湯だけで十分きれいになります。

 

カビが生えてしまったら

表面のカビなら再生できます。

紙やすりで軽く削り取って、熱湯をかけて、しっかり乾かす、これで大丈夫です。

 

「杉板は削れば新しい面が出てくるから、多少のカビは怖くないよ。」と主人。

木の道具のいいところですね。

 

ビス周辺の定期チェック

年に1回くらい、ビスの周りの木材に変色がないか確認してください。

ステンレスなら基本的に問題ないですが、

万が一ビスが別の素材だった場合、錆びて木が黒くなることがあります。

 

市販品との比較

自作(わが家の場合) 市販品
材料費 約2,000円(杉板3枚) 7,000〜15,000円
ビス・やすり等 約500〜800円 ──
カットサービス 約500〜1,000円 ──
合計 約3,000〜3,800円 7,000〜15,000円
製作時間 半日 ──
サイズの自由度 好きなサイズに作れる 既製品のみ
修理 ビスを外して板を交換できる ──

 

市販品の半額以下。

好きなサイズで作れて、壊れたら板を1枚交換するだけで直せます。

 

主人は「道具の構造がわかっていると、トラブルが起きたときに自分で対処できる。

市販品をブラックボックスのまま使うのとは違う。」と、手作りならではのよさを語っていました。

 

発酵食品を手作りするなら、道具も手作りしてみる。

その方が、発酵への理解もより深くなる気がします。

 

まとめ

杉板3枚+ステンレスビスで、3,000円以下で作れる

スーパービバホームの規格品(2,000mm×140mm×10mm)を3枚。

カットサービスで切ってもらえば、あとはビスで留めるだけ。

 

ボンドは使わない。ステンレスビスだけで十分

杉の調湿・抗菌機能を最大限に活かす設計。

食品に触れる道具だから、素材と接合にはこだわる。

クランプがあると作業がずっと楽。

 

最初は取っ手なしでシンプルに始める

凝った設計は後からでも追加できる。

まずはシンプルな箱を作って、麹を仕込んでみる

使いながら改良していくのが一番。

 

発酵食は、昔から変わらず作られているだけあって、使う道具もシンプルです。

麹も昔は各家庭で醸していました。

同じサイズで作ろうとすると、今の生活スタイルに合わないこともありますので、

自分たちなりの工夫が必要です。

いい道具は長く使えますし、使い込むほどに愛着もわきます。

 

道具を自分の手で整えるところから、次の発酵は始まっているのです。

 

ビバホームでの買い物チェックリスト

□ 杉板 2,000mm×140mm×10mm × 3枚
□ カットサービスを依頼(木取り図を見せる)
□ ステンレスコーススレッド 皿頭 30〜35mm 1箱
□ 紙やすり 400番 × 2枚
□ 紙やすり 800番 × 2枚
□ クランプ(持っていない場合) × 2〜3個

 

麹を醸す──おすすめの材料と道具

種麹があれば、すぐに麹づくりを始められます。

上級者になれば規定量でもいいようですが、わが家もまだまだ若葉マークなので、規定量より多めに醸しています。

改良長白菌(楽天市場)

 

▼ 麹づくりの原料、良質な米 おすすめの米(麹用)(楽天市場)

 

関連記事

▶︎ 麹の作り方(米袋法)

▶︎ 麹の作り方(麹箱法) 近日公開予定

▶︎ 自家製麹の使い分け完全ガイド 近日公開予定

▶︎ 甘酒の作り方

▶︎ 三五八漬けの作り方

 

記事の更新はメールでも配信しています。

サイドバーにあります、「購読」ボタンからメールアドレスを登録していただけると嬉しいです。

末っ子(1歳児)と毎日全力で遊んでいますので、記事は昼寝をしている隙間時間や夜にまとめて書いています。

インスタグラムやXも現在更新できておりませんので、お問い合わせはこちらのフォームかダイレクトメールからお願いいたします。

2026年秋頃にはオンラインのワークショップ(会員制)をはじめる予定で準備を進めています。

興味のある方は、是非参加をご検討ください。

タイトルとURLをコピーしました