こんにちは。
都内で発酵ワークショップnanairo!を主宰しています、マキ太です。
はじめての方は、こちらもどうぞ。
自家製の発酵食品を使った料理は、Twitterでほぼ毎日更新中。
長期保存(3か月以上)のため7%にしていましたが、3か月以上残っていることが少なく、
色がきれいに出るように、塩分を減らしました。
作り方は、変更ありませんので、
このまま記事を残します。
6月下旬、
日中の気温が30度を超える日も多くなります。
暑い日が続くと、食欲も落ちてしまいがちです。
そんな時におすすめなのが、柴漬け(しばづけ)です。
食欲がなくても食べやすいもの、「白いごはんとしば漬け」。
わが家の定番の夏バテレシピです。
京都・大原を発祥の地とする「しば漬け」。
その歴史は古く、平安時代(800年ほど前)にまでさかのぼります。
千枚漬けやすぐきと併せて、京都三大漬物に数えられる、
由緒正しき伝統的なお漬物です。
しば漬けは、乳酸発酵によって酸味が出てくる、
発酵食品なんです。
基本の材料は、茄子(なす)と少量の塩と赤紫蘇(しそ)だけ。
いたってシンプルです。
野菜を少量の塩を使って発酵させる点では、ザワークラウトと同じと言えます。
本場大原では、赤じそが採れる7月~8月に、
1年分まとめて作られています。
数ヶ月かけて、じっくり熟成・発酵することで、
独特な酸味が生まれます。
食べる分を少しずつ蔵から出してくるので、季節によって味が違うそうです。
伝統的な製法で作られたものは、生しば漬けともよばれています。
スーパーなどで市販されている多くは、お酢(梅酢など)がメインの調味液に漬けた、
しば漬け風のお漬物です。
「しば漬けの素」のようなものもあるようです。
いつでも同じ味が楽しめるのは、酢漬けのメリットではありますが…
ちょうど新鮮な赤じそも出始めた頃です。
今回は、乳酸発酵の生しば漬けの作り方をご紹介します。
一度作ったらクセになる‼お手入れフリーのお漬物です。
簡単で本格的!京都三大漬物『しば漬け』の作り方
材料について
伝統的な生しば漬けの材料は、なすと赤じそと塩だけです。
・塩・・・140g(なすの重量の7%)
・赤じそ・・・1束(およそ300g)
すべてグラム(g)表示です。
なすについて
なんといっても、主役は「なす」。
一般的な中長茄子の他、長茄子・小茄子・水茄子と種類を変えて漬けてみましたが、
味に大きな差はありませんでした。
「米茄子=油炒め派」なので、米茄子しば漬けはトライしていません…
何より重要なのが、鮮度です。
「鮮度が落ちたなす=水分が少ないなす」となり、漬けてもなかなか水分が上がってきません。
できるだけ収穫してすぐの、新鮮なものを使うようにしています。
赤じそについて
梅仕事がはじまる頃から9月中旬まで、枝付きの赤じそを購入することができます。
太陽をしっかりと浴びて育った赤じそは、葉の裏側まで鮮やかな赤になります。
塩について
次に、保存性を高めるために重要な役割を果たす塩ですが、
精製された塩ではなく、ミネラルが豊富に含まれる粗塩を選んでいます。
平釜でじっくり炊き上げられた昔ながらの塩は、
素材との馴染みがよいと言われています。
・塩・・・140g(なすの重量の7%)
・赤じそ・・・1束(およそ300g)
すべてグラム(g)表示です。
ちなみに、今回の赤じそ1束298g。
太い枝を取りのぞくと、243gの葉が残ります。(およそ82%)
大体2割減らした量が、使う赤じその量になります。
枝付き298g
太い枝を取りのぞいた赤じそ243g
※赤じその量は、適量で。
茄子2kgに対して、200~400g(1~2割)を目安に調整して下さい。
食感が気にならない細い茎は、そのまま葉と一緒に使います。
レシピ
まずはじめに、赤じそのあく抜きをします。
梅干しを仕込む時と同じです。
①赤じその太い枝を取り除き、よく洗います。
枝付きで298g、太い枝を取りのぞいたら243gになりました。
全体の重量の、およそ82%です。
②あく抜きをします。
あく抜きは、合計2回します。
大さじ2杯の塩(分量外・2回分)を用意します。
赤じそのおよそ10%です。
用意した塩の半分を入れてよくもみ、しっかり水を切ります。(あく抜き1回目)
出た水分を捨てます。
残りの塩を入れ、よくもみます。
ぎゅっと絞って、しっかり水を切ります。(あく抜き2回目)
これであく抜きの完成です。
②なすを水できれいに洗い、ヘタを取ります。
②なすを切ります。
長茄子などの大きいものは、少し厚め(1cm幅)に輪切りか斜め切りにします。
小茄子などの小さいものは、たて半分に切ります。
表面積を増やして、塩が素材によく馴染むようにします。
③消毒した容器に、なすとしお塩を交互に入れます。
できるだけ隙間のないように、詰めていきます。
④まんべんなく塩がを振ったら、なすから水を出します。
はじめ水が出にくいので、結構な力仕事です。
主人に任せてしまいました…
ある程度水が上がってきたら、容器の内ぶたを使って、
上から体重をかけるように数回押します。
水から顔を出しているところは、腐ってしまいますので、
時間がかかっても、しっかり水を出します。
⑤あく抜きをした赤じそを、茄子の上に敷き詰めます。
ちょうどミョウガがあったので、一緒に漬けました。
少量のミョウガは、塩もみなしで入れます。
内蓋をします。
⑥容器の内側をアルコールを含ませたキッチンペーパーなどで拭き取ってから、重石をのせ、外ぶたをします。
専用の重石があればベストですが、水を入れたペットボトルなどで代用可能です。
その場合、材料の1.5~2倍くらいの重さがあると安心です。
※ペットボトルは、アルコール消毒したものを利用します。
また、容器の上の部分が汚れていると、そこからカビが発生します。
経験上、しば漬けは一度カビが生えると復活させることはほぼ不可能です。
(貴重な茄子を、何度かダメにしてしまいました・・・)
容器の内側は常にきれいにしておきましょう。
これで仕込みは完了です。
仕込み後の変化について
4・5日で、表面に産膜酵母が現れます。
大小さまざまな、白い泡状のものです。
産膜酵母の写真をいくつかupしますので、参考にしてください。
産膜酵母①
産膜酵母②
産膜酵母③
産膜酵母④
初めてしば漬けにチャレンジする方は、「カビなの?発酵なの?」と心配になるかもしれません。
そんな時は、鼻が頼りです。
カビの場合、明らかに異様な臭いがします。
「あっ、しば漬けっぽい香りがする~!」
そんな時は、見た目が多少慣れなくても、しばらく様子をみてください。
産膜酵母が出てきた頃から、少しずつ酸味が出てきます。
室温にもよりますが、1・2週間で味がなじんできます。
食べる分だけ取り、軽くしぼって食べやすい大きさに切ります。
保存について
発酵が安定するまでは、直射日光が当たらず、
高温多湿にならないところで保存しましょう。
(味噌などの他の発酵食品と同じです。)
酸味が出るまで、基本的に常温保存です。
しば漬けとして楽しめる酸味が十分出てきたら、
ジップロックなどに小分けにして、冷蔵庫で保存することをおすすめします。
室温の変化により、気づかないうちに水が減ってしまったり、
コバエが発生しやすい季節だったり・・・
トラブル防止&お手入れフリーの為でもありますが、
発酵もゆるやかになり、より長くお気に入りのしば漬けの味を楽しむ事ができます。
Q&A
水の上がりがよくない、そんな時は?
しば漬けを失敗なく作るコツは、なんといっても水をできるだけ早く上げることです。
なかなか水が上がらない・・・そんな時の対処法は2つあります。
②水分を追加する。
①の重石を追加するのが、1番簡単です。
それでも解決しない場合は、②水分を追加します。
湯冷ましに7%の塩を溶かしたもの適量用意し、材料がすべて水につかるように調整します。
他の野菜と一緒に漬ける場合
基本的に生しば漬けは、茄子だけで漬けますが、
ミョウガを入れると香りがよくなったり、
キュウリを入れると食感がよくなったりと、
他の野菜を入れるメリットもあります。
まずは、キュウリの場合。
キュウリは茄子と同様に、少し厚め(1cm幅)に輪切りか斜め切りにします。
塩もみするタイミングも、茄子と同じです。
違うのは、その塩分量です。
キュウリは水分量も多く、水もよく出るので、
塩の量を少し減らすことができます。
茄子8:キュウリ2(今回の場合、茄子1.6kg:キュウリ400g)を、
5%の粗塩(100g)で漬けるのが、
おすすめです。
秋茄子で漬ける場合
茄子は秋になると、味が良くなります。
しかし、赤じそはお盆を過ぎたくらいから、
一気に味が落ち、葉の色もいまいちに。
秋茄子でしば漬けを漬ける場合は、お盆前に収穫した赤じそを、
あく抜きした状態で冷蔵庫で保存しておきましょう。
2週間程度は、風味も落ちることなく使うことができます。
アク抜きをしない場合
例外的ではありますが、赤じそをあく抜きなしで漬けることも可能です。
ただし、味にえぐみが出てしまいます。
その場合、2週間ほど漬けたところで、
一旦材料(茄子と赤じそ)をすべて取り出します。
そして、流水で洗います。
7%の塩水を用意し、漬け直します。
※材料がすべて水に浸かるように、塩水の量を調整します。
十分に乳酸発酵していれば、漬け直しても腐敗しません。
あくまで例外的な漬け方ですので、ご参考までに。
酸味を減らし、食べやすくする方法
生しば漬けは、酢漬けのしば漬けとは違って、
発酵がすすむにつれて、味も変化します。
子どもがなかなか食べなくなる・・・
そんなことも。
冷蔵庫で保存すると発酵がゆるやかになりますが、
それでも酸味が強く感じられるようでしたら、
一度洗って、7%の塩水に漬け直してみてください。
酸味がマイルドになり、より食べやすくなります。
赤紫蘇のあく抜きについて
あく抜きをした赤じそは、冷蔵庫でしばらく保存することができます。
仕込みにまとまった時間が取れない場合は、前もってあく抜きを済ませておくとよいでしょう。
新鮮な茄子はあるのに、すぐに赤じそを用意できない場合、
先に茄子の塩漬けを作り、あく抜きした赤じそを後日追加することも可能です。
また、どうしても新鮮な赤じそが手に入らない場合は、
塩漬けされた赤じそが市販されていますので、そちらを使って漬けることができます。
まとめ
✔ まとめて作ることができ、お手入れも不要
✔ 梅干しよりも減塩で漬けることができる
自家製しば漬け
仕込み時期
夏(6~8月)
難易度
難しい ☆★☆☆☆ やさしい
(やや難しい)
食べ始め
1週間~
保存期間
数カ月
こだわりの食材を選ぶのは、食べチョクがおすすめ。
しば漬けは、特に選ぶ赤紫蘇によって、色が決まります。
赤紫蘇も美味しく食べたいので、✔ 農薬化学肥料不使用 など、
栽培方法がきちんと書いてあるので、嬉しいです。
予約販売もあるようです。
農家の方から直接送っていただけるのは、何より安心です。
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まだまだ動画は少ないですが、
自家製の発酵食品の作り方や、それを使ったレシピを公開していく予定です。