ずっと見て見ぬ振りをしていた、冷蔵庫のラベルの貼られていないビン達。
年末の大掃除を兼ねて、数年越しに片付けることに。
大半が夫が魚を捌いた時に、内臓を塩漬けにして作った酒盗。
私的には全部捨ててもいいんじゃない?くらいの年代物だったんだけど、そうは問屋が卸さないのがわが家。
夫に聞くと、長期熟成中とのこと。
なるほど、意外と美味しそうなにおいもするし、
今回は仕方がないと諦めることに。
きれいに拭かれて無事冷蔵庫に戻されるビン達。
「ありがとう。」と、夫に感謝されてしまった。
さてそんな中、明らかに怪しいビンを発見。
恐る恐るにおいを嗅いでみると、なぜか納豆のにおいがする。
酒盗に納豆菌でも移ったか?って一瞬戸惑う。
でもこのにおい、どこかで嗅いだことあるような…
「あっ、これ私が作った五斗納豆だわ。」
お、お、お久し振りです‼
まさに3年振りの感動の再会。
五斗納豆、あまり聞いたことのない名前ではあるが、
私が育った山形では、比較的メジャーな納豆の加工品。
五斗納豆って言われてピンとこなくても、『雪割納豆』って言われたら、
山形県民の9割以上が「あぁ~」ってなるくらい、地元のスーパーの納豆コーナーには必ず並んでいるソールフード。
(雪割納豆、気になった方は『ゆきんこ』のHPへ)
ちなみに都内では、成城石井で見かけたことあり。
五斗納豆の材料は、ひきわり納豆と麹(糀)と塩の3つ。
大豆一石(約150kg)に麹と塩をそれぞれ五斗(75㎏)ずつ合わせて造ったのが、名前の由来らしい。
国産のブランド牛としても有名な米沢牛、その牛さん達がのびのびと育つ自然豊かな山形南部の置賜地方で、
雪が降って畑仕事ができない冬の間に作っていたとされる、江戸時代から続く伝統的な発酵食品。
度重なる飢饉へ備える、保存食としての役割も担っていたらしい。
当時はこたつの熱を利用して作った納豆に、塩切り麹(麹と塩を合わせたもの)を混ぜて漬け込んでいた。
五斗納豆、ただしょっぱいだけの納豆ではない。
普通の納豆って、そのまま食べてもなかなか美味しさを感じにくいのに対して、
五斗納豆は、ただのせるだけでご飯のおかわり何杯でもいけます!ってくらい、
中毒性のある独特な旨味を含んでいる。
五斗納豆の代名詞とも言える雪割納豆、小さい頃から冷蔵庫には必ずあったし、
美味しいから大好きなんだけど…
できれば無添加で作りたい!
酒の肴になりそうなものは喜んで作る夫、五斗納豆はあまり乗り気ではないよう。
となれば、その味がDNAに刻み込まれている私がやるしかない。
まずはひきわり納豆から作ろうと試みて、大豆をダッチオーブン(鉄のフライパン)で炒って、
石臼の代わりにミキサーバビーンで細かくし、蒸し器で柔らかくなるまで蒸して、
種と共にヨーグルトメーカーで発酵させてみた。
わが家にある文明の利器をフル稼働させて作ってはみたものの、薄皮を飛ばす工程をすっかり忘れてしまい、
味はともかく口当たりがものすごく悪くなってしまった。
それ以来、ひきわり納豆は買おうと心に誓った。
ちなみに普通の納豆は、失敗しらずでヨーグルトメーカーで自作中。
買ってきたちょっとこだわりのひきわり納豆に、塩切り麹を混ぜ合わせる。
元々の分量で作ったところ、かなり塩辛くなってしまったので、
少しずつ塩の量を調整してみた。
そしてたどり着いた黄金比がこちら。
納豆310g
米麹(生)200g
あらしお40g
作り方は、納豆と塩きり麹を順に何層にも積み重ねていくだけ。
中に空気は出来るだけ入らないように、スプーンで押しながら詰める。
作ってすぐに食べられなくもないが、それでは意味がない。
そのまま2、3か月冷暗所で保管して、麹の甘味が十分に出てくるまで熟成させる。
冬の間は常温保存でOK。
ただ、高気密高断熱がウリのマンションの場合、
冬でも室内で涼しい場所を見つけるのは難しい。
その場合は、冷蔵庫に入れてしまっても構わない。
暑くなると発酵が進み過ぎてしまうので、夏場作る場合は必ず冷蔵庫で保管する。
炊き立てのご飯にのせて食べるもよし。
納豆汁もワンランク上の味わいになる。(煮立てるのは厳禁)
ここからはいつもの実験。
ひきわり納豆ではない丸の納豆でも作ってみたが、一つ一つの粒が大きいからか、
麹とのバランスが悪く感じてしまう。
ただそれもオリジナルを知っているからで、粒感を楽しみたいというのであれば、
それはそれで正解になる。
ただ納豆に完成した塩麹や三五八漬けの素を足して、時短で五斗納豆作りを試みたこともあったが、
本来の味わいにはならなかったので、はじめはレシピ通りに作って欲しい。
ちなみに冷蔵庫で化石になっていた五斗納豆はどうなったか?
生食はさすがに怖いので、においがおかしくないことを確認して納豆汁に。
(自家製の保存食は賞味期限の概念がないので、臭覚だけが頼り。)
問題なく美味しくいただきました。
ただ、冬に作って田植えの忙しい時期に食べられていたということなので、
長くても4~5か月で食べ切るのがよさそう。
後日ゆきんこのオンラインショップをよく見ていると、スーパーで見かける定番の雪割納豆とは別に、
「はじまりの雪割納豆」という名前の無添加五斗納豆を発見!
はぁ、私の苦労は何だったんだ…
でも、楽しかったからまっいっか。
ちなみにかんずり入りの雪割納豆もある。
新潟妙高に古くから伝わる香辛調味料で、わが家でも夫の実家で花柚子が採れる12月頃に毎年仕込む。
発酵させた柚子胡椒のような、滋味深い薬味。
五斗納豆との相性も抜群。
そうなると、普通の柚子胡椒も合わない訳がない。
食いしん坊の納豆愛は止まらない。
雪割納豆、ふるさと納税の返礼品にもなってる。
食べて山形を応援したい人は是非!




