こんにちは。
都内で発酵ワークショップnanairo!を主宰しています、マキ太です。
はじめての方は、こちらもどうぞ。
自家製の発酵食品を使った料理は、Twitterでほぼ毎日更新中。
子供の頃、2mを超える雪の壁ができる、
山形の豪雪地帯で育ちました。
雪がしんしんと降る中、家族で初詣に行き、
そこで出してもらうあったかい甘酒が大好きでした。
特別な飲み物だった甘酒ですが、今はスーパーや自動販売機でも購入することができる、
身近な存在になってきました。
わが家でも、冷蔵庫に必ず入っているもののひとつです。
甘酒って、あまり飲んだことがなくて…
どれを選んだらいいですか?
ワークショップでも、休憩中の飲み物として甘酒をお出しすることがあります。
今回は、自分に合う甘酒を探している方の質問にお答えします。
この記事では、
✔ こんなに違うの⁉大きく2つに分けられる甘酒の種類
✔ 子供も飲むことができる、ノンアルコール甘酒の作り方
✔ 飲むだけじゃない、わが家の甘酒活用法
について、まとめてみました。
こんなに違うの⁉大きく2つに分けられる甘酒の種類
甘酒は、主な材料の違いから大きく2つに分けられます。
その材料というのが、「米麹」と「酒粕」です。
米麹を使う甘酒
まずは、米麹を使った甘酒をご紹介します。
材料に使われる米麹は、蒸したお米に麹菌を合わせて繁殖・発酵させたものです。
米に花が咲いたように見えることから、「糀」とも書きます。
麹菌は2006年に日本醸造学会で国菌に認定された、日本にしかいない特別な菌です。
わが家で使っているのは、麹屋さんから買ってくる生米麹です。
ご主人に欲しい枚数をお伝えすると、地元産の杉でできた麹箱から、
「ゴリゴリ、ゴリゴリ…」と剥がして、袋詰めにしてくれます。
その米麹を使って作るのが、米麹甘酒です。
米麹はそのまま食べても甘さはあまり感じませんが、
ある一定の温度で加熱させ、麹が糖化することによって甘味が生まれます。
そうやってできる米麹甘酒にも、
✔ 米麹だけで作られるもの
✔ 米麹と炊いた米で作られるもの
の2種類ありますが、どちらも十分な甘味があるので、
ほとんどの場合、砂糖などは入っていません。
仕上がりは、このようにトロっとしています。
そのまま食べることもできますし、
水かお湯で薄めて飲むこともできます。
米麹甘酒は、アミノ酸やビタミンが多く含まれていて栄養価も高く、
「飲む点滴」とも呼ばれてます。
その上、米を原料としているため、
アルコール成分を一切含まず、子供も安心して口にすることができます。
濃縮タイプのものや、あらかじめ希釈されているドリンクタイプのものがありますが、
「ノンアルコール」や「砂糖不使用」と書かれているものは、
この米麹から作られている甘酒だと思っていいでしょう。
酒粕を使う甘酒
次に、酒粕を使った甘酒です。
酒粕は、日本酒を搾る時にできる副産物です。
日本酒ブームの今、「吟醸酒粕」や「大吟醸酒粕」など、
酒粕もブランド化してきましたが、基本的にどの酒粕も同じように使うことができます。
その酒粕を使って作るのが、酒粕甘酒です。
酒粕甘酒は、酒粕を希釈して砂糖などの甘味料を加えたものです。
水で溶いて作っているので、仕上がりはサラサラしています。
砂糖を加えないと、全くと言っていいほど甘さは感じません。
それに、火を通してアルコールを飛ばしているとはいえ、
若干アルコールの風味は残ってしまいます。
アルコールの面からみても、子供がいる家庭にはあまり向かないかと…
でも、大人には見逃せない、
いい効果もあるんです。
酒粕には、タンパク質の一種であるレジスタントプロテインが含まれており、
それが食物繊維に似た働きをすることが、2014年の日本健康医学会で発表されました。
このレジスタントプロテインには、血中コレステロールの低下させ、
腸のぜん動運動を促進する整腸作用が期待できます。
腸活には、酒粕甘酒がおすすめです。
子供も飲むことができる、ノンアルコール甘酒の作り方
こだわりの材料選び
子供がいるわが家では、米麹甘酒を常備しています。
米麹には、麹屋さんで購入する生麹と、
生麹を低温で乾燥させて水分を飛ばした乾燥麹があります。
わが家では、
✔ 水で戻す必要がなく、そのまま使うことができる
✔ 冷蔵で1週間、冷凍で半年程保存できる
これらの理由から、生麹を使っています。
はじめての方にこそ、手間のかからない生麹がおすすめです。
米麹も、日本酒と同じように、
使っているお米や精米歩合もよって、驚くほど風味が異なります。
わが家も何件もまわり、ようやく今の麹屋さんに出会いました。
米麹は、酒屋さんでも取り扱っているところがありますので、
食べ比べてみるのも面白いと思います。
失敗しらず!ヨーグルトメーカーを使った甘酒作り
それでは、早速作り方をご紹介します。
米麹甘酒は、炊飯器やヨーグルトメーカーや魔法瓶など、
保温機能のある器具を使えば、簡単に作ることができます。
中でも、発酵食に特化した発酵メーカーが、
材料をセットしてスイッチを押すだけと、再現性も高くおすすめです。
わが家では、タニカ電器のヨーグルティア(旧型)を使っています。
本体と容器のみとシンプルな構造ながら、
甘酒の他、豆乳ヨーグルトや納豆も作ることができる優れものです。
甘酒を作る場合は、消毒した容器に米麹とそれより少し多めの水を入れて、
温度を60度に設定し、8時間加熱するだけです。
少し経つと、いい香りが漂ってきます。
出来上がった甘酒がこちら。
パサパサだった麹は柔らかくなり、全体がクリームがかった色になります。
ひと口飲んでみるだけで、十分な甘味を感じます。
できたての温かい甘酒も美味しいですが、夏の暑い日などは、
冷蔵庫でしっかり冷やしてから飲むのもおすすめです。
ちょっと変わったわが家の甘酒たち
米麹の代わりに、玄米麹を使った甘酒
米麹の代わりに、玄米麹を使って甘酒を作ることもあります。
米麹が白米に麹菌を合わせるのに対し、玄米麹は文字通り、
蒸した玄米に麹菌を合わせて繁殖・発酵させます。
味噌も玄米麹を使うと、少し酸味のある昔懐かしい風味になるように、
甘酒にも玄米の独特な風味が生まれます。
米麹甘酒に慣れてきた頃に作ってみるのもいいでしょう。
酒粕の代わりに、みりん粕を使った甘酒
また、酒粕の代わりにみりん粕を使うことも。
みりん粕は、昔ながらの製法で造られている本みりんからしか搾ることができないので、
幻の発酵食品とも言われています。
酒粕とは違い、そのまま食べることもできるくらい、
甘味が強いのが特徴です。
みりん粕にも、酒粕同様レジスタントプロテインが含まれています。
酒粕甘酒が苦手な方は、みりん粕甘酒にチャレンジするのもいいかもしれません。
詳しい材料や作り方は、こちらで紹介しています。
米麹と酒粕のブレンド甘酒
酒粕甘酒は、砂糖などの甘味料を加えることが絶対条件です。
砂糖の代わりに米麹甘酒を使ったらどうだろう?
実際にやってみました。
う~ん、同量だと甘味を感じにくいので、
米麹甘酒2:酒粕甘酒1くらいの割合で混ぜるのがよさそうです。
それでも、砂糖の甘さには敵いません。
甘味の強い酒粕甘酒がお好きな方は、砂糖を加えるスタンダートな作り方をおすすめします。
飲むだけじゃない、わが家の甘酒活用法
そのまま飲む(食べる)ことが多かったわが家ですが、
冷蔵庫に常備しているうちに、料理にもちょこちょこ使うようになりました。
砂糖の代わりの調味料
砂糖がない時や、ちょっとだけ甘味を足したい時は、
調味料のひとつとして甘酒を使っています。
特に、味噌や豆板醤との相性がいいので、
炒め物の時に重宝します。
甘酒と本みりんで、十分な甘味とコクが出ます。
野菜が美味しくなる漬物床
野菜を漬けるだけで美味しくなるのが、漬物床。
ぬか漬けや塩麹漬けなど、塩がメインのものが多い中、
甘酒を使うと、ちょっと面白い味わいのお漬物ができます。
作り方も簡単、甘酒と少量の塩を混ぜ合わせるだけ。
大根などの野菜を数日漬け込むだけで、立派な箸休めになります。
お菓子作りにも大活躍
甘酒は、お菓子やパンを作る時にも大活躍です。
砂糖のようなガツンとした甘さがない分、菓子パンより食事パン向きかもしれませんが、
ドライフルーツや甘味のある野菜のペーストを練り込む場合は、
甘酒の方が合うように感じます。
また、乳製品アレルギーっ子のいるわが家では、
アイスも「甘酒+豆乳ヨーグルト」の組み合わせで作ります。
少し酸味のあるヨーグルトも、甘酒を加えることで食べやすくなります。
冷凍庫で保存してもカチカチになることはないので、
シャーベットのようなあっさりとした食感になり、食後のデザートにもちょうどいいです。
詳しい作り方はこちらで紹介しています。
まとめ
この記事では、自分に合った甘酒を探している方に向けて、
甘酒の種類やその特徴についてお伝えしました。
2種類の甘酒についてまとめると、
米麹甘酒
〇ノンアルコールなので子供も安心
〇砂糖不使用
〇砂糖の代わりに、料理やお菓子作りに使うことができる
〇「飲む点滴」美肌効果が期待できる
△米麹だけで作るので、若干材料費が高くなる
△出来上がるのに8時間かかる
△カロリーが高め
酒粕甘酒
〇10分でできる
〇腸活におすすめ
〇米麹と比べて、材料費が安い
△砂糖を多く加えないと、甘さを感じにくい
△アルコール成分が残る可能性がある
それぞれにメリットがあります。
子供がいるわが家では米麹甘酒を常備していますが、
時々は酒粕甘酒やみりん粕甘酒を作って楽しんでいます。
甘酒は、飲む人に合わせて選ぶのがおすすめです。
甘酒の甘さが苦手な方へ、おすすめのこうじ水
甘いものが苦手な方には、こうじ水がおすすめです。
こうじ水は、材料は米麹甘酒と同じですが、
加熱しないので糖化による甘味が生じず、麹本来の優しい甘味を感じます。
甘酒とは違い、麹自体は一緒に食べませんが、
水に溶け出す麹菌の効果は十分に得ることができます。
甘酒好きの方も、カロリーを抑えたい時にはこうじ水を試してみてはいかがでしょう。
作り方は、こちらで紹介しています。
8年使っているわが家の発酵メーカー
甘酒をはじめ、豆乳ヨーグルトや納豆も作ることができる、
わが家の発酵生活には欠かせないのが、タニカ電器のヨーグルティアです。
8年程前に購入し、今でも週に3、4回のペースでヘビーユーズしています。
材料を入れて温度と時間を設定し、後は待つだけなので、
毎回同じような仕上がりになります。
誰が作っても同じようにできるのが、発酵メーカーのいいところです。
プラスチックの容器はどうしても劣化していまうので、
より長く使うには、HARIOのガラス容器のセットがおすすめです。
市販されている甘酒の紹介
甘酒は、スーパーなどでも気軽に購入することができますが、
逆に種類が多すぎて迷ってしまいます。
「飲んでみたいけど、何を選んでいいのか分からない…」と悩んでいる方へ。
化学肥料や農薬などに頼らない有機栽培で、自然と共生した持続可能な農業を実践されている方も多く、
環境豊かな土地で育った米と水を使って作られている甘酒もあります。
そんな生産者の方が集まる「食べチョク」というサービスがあります。
お気に入りの甘酒を探してみるのもおすすめです。
この記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考URL
月桂冠株式会社,月桂冠総合研究所>美と健康の研究