こんにちは。
都内で発酵ワークショップnanairo!を主宰しています、マキ太です。
はじめての方は、こちらもどうぞ。
自家製の発酵食品を使った料理は、Twitterでほぼ毎日更新中。
わが家には、めんつゆや白だしなどの、
万能調味料がありません。
そのかわり、数種類の魚醤があります。
魚醤とは、魚を塩漬けにして長期間発酵させる、
日本の伝統的な調味料です。
海に囲まれた日本では、今も各地方で魚醤が作られています。
中でも、秋田のハタハタで作るしょっつるや、
石川・能登のイカやイワシで作るいしる(いしり)は有名です。
また、世界をみてみると、
タイのナンプラーやベトナムのニョクマムがあります。
スーパーでも購入することができる、身近な魚醤です。
実は、魚醤は自宅でも簡単に作ることができるんです。
材料は、魚と塩だけと、いたってシンプル。
特別な道具もいりません。
ものすっごーーい時間と手間がかかる醤油に比べると、
魚醤の仕込みにかかる時間は、たったの10分。
(容器の消毒を考慮しても、15分あれば終わります。)
作り方も簡単ですが、
魚醤には、他にも魅力がたくさんあります!
✔魚のエキスがたっぷり、旨味がすごい!
✔自分で発酵度合いを調整することができる。
小麦と大豆を一切使っていないので、
アレルギーがあって、普通の醤油が食べられない方にもおすすめです。
最近では、グルテンフリーの食材としても注目されています。
そして魚醤には、なにより魚の旨味がたっぷりと含まれているので、
だしを足す必要がありません。
めんつゆや白だしといった万能調味料を使うことなく、
味がととのいます。
また、魚醤を自分で作る最大のメリットが、
発酵度合いを調整できる事。
味、色、香りすべてを、自分の好きなようにアレンジできます。
「魚醤は、においがちょっと・・・」という方には、
是非手づくり魚醤をおすすめします!
今日は、秋~初冬にかけて旬をむかえる
メイタガレイを使って、魚醤を作ります。
メイタガレイの魚醤
材料について
魚醤の材料は、魚と塩だけと、
いたってシンプルです。
魚について
今回は、秋~初冬にかけて旬をむかえるメイタガレイを使います。
産卵期(冬)の前が、一番おいしい時期だと言われています。
刺身にしても、唐揚げにしてもおいしいメイタガレイですが、
小さいと、手間だけかかって、
食べる部分が少ない・・・
そんな小さいメイタガレイを使います。
ちなみに、今回は100g当たり28円、
白身魚の中では、かなりお得に作ることができます。
塩について
次に、塩を選びます。
わが家では、素材とのなじみのよい粗塩を使っています。
\メイタガレイの魚醤の材料/
・粗塩 ・・・ 360g(魚の30%)
レシピ
①メイタガレイを、さっと洗います。
※魚は鮮度がなにより大事!ここはすばやく作業します。
カレイを調理する時は、基本的にウロコを処理しますが、
魚醤は後で漉すので、そのまま残してたままで大丈夫です。
②消毒した容器に、魚と塩を交互に入れます。
最後は、上から塩で覆うようにします。
ラップをかけ、そのまま1日冷暗所で保管します。
(室温が高いようなら、冷蔵保存をおすすめします。)
1日経過
魚から水分が上がってきました。
※塩が完全に溶け切っていたので、塩を5%(60g)追加します。
水面から出ている部分を、きちんと水に浸かるように、
重石をします。
口の大きさに合わせて、水を入れたペットボトルを用意します。
食品用のポリ袋に入れて、重石にし、
ほこりなどが入らないように、まわりをラップと輪ゴムで覆います。
そのまま1ヶ月ほど様子をみます。
1か月後
発酵のすすみ具合をチェックします。
塩が少し溶け残っているくらいがちょうどいいです。
完全に溶けているようなら、塩を5%(60g)ほど追加します。
この時点で、魚が浮いてこないようなら、
重石をとってしまっても構いません。
数か月後
ここからは、カタクチイワシの魚醤を参考に、
手順をお伝えします。
※メイタガレイの魚醤は、2021年4~6月頃に追記します。
次は、出来上がった魚醤を漉す作業です。
合計で、2回漉します。
1回目
まずは、目の細かいザルを用意します。
わが家では、スープ漉し器を使っています。
出来上がった魚醤を漉します。
※こぼれないように、注意します。
時間がかかるので、ほこりや虫が入らないように、
ラップをかけて待ちます。
漉し器の目の粗さにもよりますが、半日ほどかかります。
2回目
次は、コーヒーフィルターを使います。
溢れないように注意しながら、少量ずつ漉していきます。
コーヒードリッパーの大きさにもよりますが、
3~4回に分けて漉します。
(フィルターは、詰まってしまう為、2回使った後交換します。)
きれいな琥珀色の魚醤の出来上がりました。
仕込み後の変化、発酵期間について
本来、数か月かけてじっくり発酵させる魚醤。
魚の旨味を十分出すには、大切な時間です。
多くの市販の魚醤は、半年から1年かけて、
長期熟成されたものです。
自分で作る魚醤は、
発酵度合いを調整する事ができます。
それもまた、いいところ/
では、どのくらい発酵させればいいのか?
おすすめのタイミングは、2か月後と4~6か月後。
それぞれ理由があります。
まずは、『発酵2か月魚醤』について。
”2か月しか発酵させていない魚醤なんて、旨味が出ていないんじゃない?”
そう思われてるかもしれませんね。
発酵2か月の魚醤は、色はきれいな琥珀色(ウイスキーのような色)、
香りもそれほど強くなく、味も比較的あっさりとしています。
そう!
まさに”魚醤の独特な香りが苦手な方”に、
おすすめの魚醤なんです。
わが家でも、玉子焼きや茶わん蒸しなどのシンプルな味付けの時には、
特に重宝しています。
そして、もう一つのおすすめ『発酵4~6か月魚醤』。
発酵期間が3か月過ぎた頃から、魚のやわらかい部分が、
旨味として溶けだします。
香りは少し強くなりますが、魚の旨味をより感じるようになります。
ごま油のような香りのあるオイルと一緒に使っても、しっかり主張してくれます。
また、トマトソースに隠し味程度に少量入れたい場合も、
濃いめの魚醤が合います。
そして、自家製の魚醤は、
漉した後も、発酵が続きます。
使っていくうちに、少しずつ味が変化していくのも、
自分で作る楽しみの1つです。
保存について
発酵させている間は、直射日光が当たらず、
高温多湿にならないところで保存しましょう。
(味噌などの他の発酵食品と同じです。)
基本的に、常温で保存します。
漉した後も、基本的に常温保存可能ですが、
”こののままの味が好き”
”においが強くない方がいい”
そんな場合は、冷蔵庫での保存をおすすめします。
Q&A
水の上がりがよくない、そんな時は?
魚醤を失敗なく作るコツは、なんといっても、
魚から水をできるだけ早く上げることです。
なかなか水が上がらない・・・そんな時の対処法は2つあります。
②塩を追加する。
①の重石を追加するのが、1番簡単です。
水の入ったペットボトルを、食品用のポリ袋に入れ、
重石にします。
それでも解決しない場合、②塩を追加します。
塩分5%を追加し、消毒した木べらで軽く混ぜます。
まとめ
メイタガレイの魚醤
仕込み時期
冬(12月~2月)
難易度
難しい ☆☆☆★☆ やさしい
(比較的やさしい)
食べ始め
2か月~半年
保存
常温保存可
自家製魚醤のおすすめの使い方、まとめました。
マキ太のTwitter
自家製の魚醤
— マキ太@発酵生活 (@nanairo01328645) November 9, 2020
材料は、魚と塩だけ。
「でも、あの独特なにおいが苦手で・・・」
そんな方へ
✔︎白身魚で作る
✔︎発酵期間を短く
✔︎内臓を入れない
これであっさりだけど、旨味のある魚醤の出来上がり。#自家製発酵#魚醤#小麦アレルギー pic.twitter.com/98N397ZcXI
この3つのポイントをうまく調整すると、
魚醤の独特なにおいが苦手な方も、きっと好きな魚醤になりますよ/
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まだまだ動画は少ないですが、
自家製の発酵食品の作り方や、それを使ったレシピを公開していく予定です。