花よりだんご、肉より魚、
わが家の揺るぎない原則。
子供たちの毎日のお弁当も、メインはほぼ魚。
蒲焼きとかフライとかあんかけとか、毎日魚の種類も変わって、
料理法も違って、っていうのが理想だけど、
どこにその時間あるのよってくらい、朝バタバタなのが現実。
そんな中、焼くだけでちゃんと料理してます感を醸し出してくれる塩漬けの魚の切り身は、
まさに救世主とも言える存在。
養殖魚を食べないわが家で頻繁に登場するのが、お馴染み鮭(サケ)と鯖(サバ)。
通年購入できる比較的メジャーな魚だけに、小学生の次女が、
「今日の鮭ってどこ産?どこで買ったの?」って言うくらい、
同じ魚でも、産地と加工の仕方で、
味わいがガラリと変わる。
『切り身の味は、値段に比例する。』
お店側が赤字覚悟の出血大サービスでもしていない限り、ほぼほぼ当てはまる。
1枚400円超えの魚は、何をしなくったって美味しい。
でもね、毎回買うにはちょっと高い。
焼くだけで美味しいものは、そのまま焼き魚にすればいい。
塩が甘くてちょっと臭みが出ていたり、脂がのっていなかったり、
いまいち箸が進まないなぁっていうの切り身が、今回の主人公。
「そのまま焼いて出したら、子供が魚嫌いになっちゃうかも…」
そんな心配は、漬けてしまえば無用になる。
そう、発酵好きは、やたらと漬けたがる。
正真正銘の漬け床育ち。
ただ今回の漬け床は、それに比べて難易度が高くない。
材料はたったの2つだし、ぬか漬けのようにあらかじめ馴染ませておく必要もない。
その材料というのが、酒粕とみりん粕。
酒粕は、日本酒を搾った時に出る搾りかす。
お菓子作りの材料にもなる、大人な発酵食品。
一方のみりん粕は、伝統的な製法で作られた本みりんを搾った時に出る搾りかす。
蔵元から直接購入する以外は、巷にはほとんど出回らないため、
幻の発酵食品との異名を持つ。
どちらもお酒を搾った時にでる搾りかすなのだが、その味わいはまったく違う。
酒粕は甘くない、みりん粕は結構甘い。
日本酒は酒米(酒造好適米・醸造用玄米)という、食用米とは違った品種ではあるものの、
うるち米に分類されるものを使って仕込むのに対し、本みりんは、
糖度が高いもち米を原料としている。
甘いカクテルなんてない江戸時代には、お酒が苦手な人や、
女性が楽しむお酒として、重宝されていたらしい。
今回は日本酒とみりんのいいとこどり。
酒粕とみりん粕を、大体5:5の割合で混ぜて、
漬け床を作る。
漬ける時間は大体12時間~、朝漬けたら晩ごはんに、
寝る前に漬けたら朝ごはんに、そのくらいから食べられる。
もちろん、じっくり漬けたい場合は、
2、3日漬けてもOK。
ただ塩を足している訳ではないので、長期熟成には向かない。
よく切り身をさらしで巻いて、その上から漬けるって言われるけど、
焼いた粕も美味しく食べるわが家では、そのまま直漬けにして、
表面に付いた粕をさっと指で拭うくらいがちょうどいい。
みりんが入る分焦げやすいので、温度が上がるまでは中火で、
その後は弱火でじっくりと焼くのがおすすめ。
最後に失敗したくはないので、そこだけ注意が必要。
これはもう、老舗料亭で出されていてもおかしくないくらい、
ほんのりと甘味があり、かつ上品な味わい。
お中元とかで貰ったら争奪戦になる、1枚ずつ丁寧にパック詰めされた、
あの高級品にも勝るとも劣らない。
まさに、最強の西京味噌漬けレシピ。
これは、お酒よりご飯がすすむ。
3、4回使った漬け床は、焼き味噌っぽくしたり、
粕汁にしたり、捨てずに丸ごといただく。
『切り身の味は値段に比例する?』
いや、しないこともある。
「明日のお弁当の分、ちゃんと漬けた?わたし漬けとくね。」って、
2日続けて同じものはイヤだと言っていたはずの次女が、毎日のようにせっせと漬けてくれる。
これはいいのか、悪いのか?
とにもかくにも、魚が苦手な子供たちにこそ、
是非食べてみて欲しい。
材料の購入先
日本酒の搾り粕、酒粕。
大吟醸、吟醸、清酒と色々あるが、わが家では、
風味と味のバランスのよい、吟醸酒粕を使っている。
今回は、新潟の酒屋さんで購入した地酒の酒粕を使用。
スーパーではなかなか手に入らない、みりん粕。
都内近郊だと、千葉の流山に「かごや商店」という酒屋さんがあって、
そこに行くと、ほとんど通年で購入できる。(オンラインショップもある。)
予約必須の流山本みりん、その搾り粕というだけあって、
そのまま食べても抜群に美味しい。
今まで試したみりん粕の中では、1、2位を争うしっとり感。
みりん残量率高めのみりん粕の方が、食材との馴染みがよくなる。